地方企業の働き方改革 新たな短時間勤務制度導入へ

地方企業の働き方改革 新たな短時間勤務制度導入へ
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広島県で路面電車やバスを運行する会社が、本人の希望に沿って安定して働ける環境を整えるため、すべての正社員を対象に、所定の勤務時間を柔軟に短縮できる制度を来年度にも導入することになりました。深刻化する人手不足に対応して働く人を確保しようという狙いがあります。
この会社は、広島市などで路面電車やバスを運行している「広島電鉄」で、関係者によりますと、来年度前半にも1600人余りいる運転士や車掌など、すべての正社員を対象に、新たな短時間勤務の制度を導入することで労使が大筋で合意しました。

現在は週40時間としている正社員の所定勤務を一定期間、柔軟に短縮できる制度で、例えば「1日3時間だけ働く」とか「午後3時以降に働く」という人でも正社員として働き続けることができます。

制度を利用する際に理由は問わないこととし、子育てや介護に限らず活用できるうえ、希望すればフルタイムの正社員に戻ることも可能です。

給与体系については今後、詳細に検討しますが、労働時間が短くなった分は基本給から差し引いて支給する見通しです。

この制度は入社直後から利用でき、会社では制度の導入で、正社員の労働時間が減った分を新規採用を増やしたり、定年退職した人を再雇用する制度を拡充してカバーしていく方針です。

地方でも人手不足が深刻化する中、本人の希望に沿った形で安定して働くことができる環境づくりを進めることで、働く人を確保しようという動きは今後、企業の間で広がる可能性があります。

専門家「非常に先進的な事例」

働き方に関する厚生労働省の委員会で委員を務める、県立広島大学大学院の木谷宏教授は「子育てや介護だけでなく、理由を問わずに利用できる点や、新たに採用する人も対象にするというのは非常に先進的な事例だと言える。働く時間の柔軟性や多様性は、さまざまな人が活躍するために非常に重要な前提条件で、こうした新たな働き方を模索することは、ほかの企業にとっても待ったなしの課題だ」と話しています。