シーズン4まで見たけど、面白かった。
Netflix制作の政治ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の魅力を、ネタバレ無しで紹介していく。
最近、大統領選でトランプを有利にするため、プーチンがサイバー攻撃を仕掛けたとオバマが主張してるけど、「ハウス・オブ・カードかな?」って思っちゃった。
オバマもハウス・オブ・カードを見てるらしいし、影響受けてる説もある。
『ハウス・オブ・カード 野望への階段』とは?
動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」制作のオリジナルドラマだ。
ボー・ウィリモンがショーランナー(現場責任者)。『ファイト・クラブ』『ソーシャル・ネットワーク』の監督デヴィッド・フィンチャーや、主演男優でもあるケヴィン・スペイシーが製作総指揮を務める。
アメリカにテレビのリモコンに「Netflixボタン」がついていて、スポーツを見るのがWOWOWなら、映画やドラマを見るならNetflix。みたいな感じになってるらしい。
Netflixは日本でもサービスを開始して、登録者数を伸ばしている。
テレビ局のような動画を配信できるインフラを持っているところは、自社でTVドラマやバラエティ番組を作ったりする。
ネット配信のNetflixも、かつてテレビ局がやっていたように、独自にドラマを制作している。
最初は「ネット企業なんかにまともなドラマがつくれるわけない」と馬鹿にされていたそうだが、本作『ハウス・オブ・カード 野望への階段』でその下馬評をひっくり返した。ネット配信のドラマシリーズで始めてエミー賞を受賞した作品らしい。
Netflixはストリーミングの動画配信サービスなので、ユーザーがどこで見るのを辞めたとか、ユーザーごとのストーリーや俳優の好みの傾向など、視聴行動履歴を集めることができる。
Netflixがすごいのは、手にれた膨大な視聴行動のデータを、オリジナルコンテンツの制作に使っていること。
この『ハウス・オブ・カード』も、データ分析の結果を活かして作られたと言われている。
どんなドラマなのか?
アメリカ合衆国の政治を描いたドラマだ。
主人公のフランクは、権力の階段を上り、アメリカの大統領になることを目指している。壮大な規模の政治サスペンスで、オバマのみならず、安倍晋三首相や習近平国家主席も見ているとか。(公式サイトの「寄稿記事」にそう書いてあった。)
ファンタジーとかコメディではなく、リアリティのある政治モノで、社会情勢や法制度も現実のものとまったく一緒。明らかにプーチンを意識したようなロシアの大統領も登場する。プーチンに「ハウス・オブ・カード見てます?」って誰か聴いてみてほしい。
とにかく、めちゃくちゃ面白い。
今まで見た海外ドラマの中では、『ゲーム・オブ・スローンズ』の次に面白かった。
ハウス・オブ・カードの魅力
個人的に魅力に思ったところを紹介していく。
学びが多い
アメリカの文化や政治のことがよくわかる。
もちろん大衆向けのドラマなので、政治のこととかまったくわからなくても楽しめるようにできてる。ただ、見終えてからこういう資料を読むとめちゃくちゃ分かりやすい。
誰も知らないアメリカ議会
ただ、政治の知識以上に、「人を説得するとはどういうことか」というのが強烈にわかる。説得して誰かの意見を変えることは、政治をしていく上で重要な能力で、それが大きなテーマの一つとも言える。
人に頼み事をするのがつらいとか、頭を下げたくないとか、そういうときのヒントがこのドラマに転がってるかもしれない。下手な自己啓発書とかハウツー本とか読むよりもよっぽど良い。
……と言いたいところだけど、フランク(主人公)の真似をしてはいけない。というかできない。
政治というものの凄まじさを実感できる
ブログやSNSを見ていると、みんな色んなものを吐き出しているのだけど、言いたいことを押し殺して腹の中に抱えておくというのは、この社会で生きていく上で必要不可欠な能力の一つだなあ、ということを感じる。
理念や思想やエゴを飲み込みながら、ギリギリのところで調整していけるのが優秀な政治家。
他の娯楽作品のスターやヒーローとは別の種類の「強さ」が描かれた作品だ。
「大人」の世界
主人公フランクとその妻のクレアは、強烈な野望とエゴを持ちながら、同時に「わきまえる」ことのできる人物でもある。
ドラマを見てると、「いったいこいつらどんだけ大人なんだ!」と思ってしまう。
半沢直樹や島耕作のようなポルノや、浮気がどうだか言ってるようなドラマが、キッズ向けに思えてしまうほど、ハウス・オブ・カードには「大人」が出てくる。
アンダーウッド夫妻は、主人公でありながらも応援したくなる人物ではないのだけど、彼らのような立派な大人にはなりたいと思うね。
簡単に人物紹介
主にどういうやつが出てくるのか紹介。ネタバレを避けるのであっさりと書く。
フランシス・アンダーウッド
親しい人からは「フランク」と呼ばれている。
ケヴィン・スペイシーが演じるこのドラマの主人公で、画面を見越して視聴者に話しかけるという演出をよくやる。
シーズン1開始時は民主党の下院議員で、院内幹事を務めている。
応援したくなるときもあれば、いっそ殺されてしまえばいいのにとも思ってしまうダークヒーロー。
特別な能力やスター性や人気はないのだけど、「政治家」としての手腕には卓越している。彼のすごさは、まあ、実際にドラマを見ていけばわかる。
最低最悪な男なのだけど、それでも人間としての葛藤も持っていて、またそれ以上に歪んだ権力欲がある。
フィンチャー監督も、これを演じるケヴィン・スペイシーもハンパねーなって思う。
クレア・アンダーウッド
フランクの妻で、NPOの代表をしている。
ロビン・ライトという今年50歳の俳優が演じてるんだけど、めちゃくちゃ美人なのよね。若い女の子には出せない魅力がある。作中でも色んな人からモテる。
ハウス・オブ・カードは、フランクとクレアの男女関係を描いた物語でもある。夫婦間の微妙な関係は、シーズンを重ねるほど冴え渡っていく。
ただ、恋愛モノだとか夫婦モノだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ……もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
ゾーイ・バーンズ
権威のある大手新聞社ワシントン・ヘラルドの新人記者。汚いアパートで一人暮らしをしている野心家で、女の武器をつかってでもスクープをものにしようとする。
このドラマには出版社や作家もけっこう登場する。しっかりした裏付けのある記事が具体的な力を持つ世界が描かれているのも魅力の一つ。
ダグラス・スタンパー
通称「ダグ」。フランクに忠誠を誓う議員スタッフで、成り上がるためには何でもやる男の裏側を支えている。
「お前いつも葛藤抱えてんな」って人物で、頭は相当にキレるのだけど、確かな拠り所を見つけられず、不安定で危なっかしい。
有能ではあるが、自立してない男特有のキモさが描かれていて、フィンチャー作品っぽい。
ピーター・ルッソ
ペンシルバニア州の下院議員で、可愛い彼女がいるくせにけっこうなダメ人間。
アマゾンCEOのジェフ・ベゾスにそっくりのハゲなのだが、クスリをやってたり売春したりしていて、フランク達に弱みを握られてしまう。
最悪の男に命綱を握られた彼がどうなるのか……は実際にドラマを見てみてほしい。
中高生くらいが見てもつまらないだろうけど、それ以上の年齢なら確実に楽しめるドラマだと思う。
現在シーズン4まで出ていて、1シーズン13話で、合計52話ある。
シーズン5はいま作ってる途中なのだろう。
ハウス・オブ・カードには原作がある。
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もともとはイギリスの政界を描いたマイケル・ドブズの小説で、ドラマ化もイギリスでされた。
アメリカ版の『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、英国ドラマのリメイク版ということになる。
原作では、ハウス・オブ・カード(カードで建てられた家)というタイトル通り、主人公の立場は脆く崩れ去ってしまう。
ただ、ここで紹介したアメリカ版は、政治の舞台が英国から米国になっただけじゃなく、脚本や登場人物も大きく変わっている。
主人公達がどうなるのはネタバレになるので言わない。
視聴方法
視聴方法だけど、Netflixのコンテンツなので、ハウス・オブ・カードが目的ならNetflixで見るのが王道。
オリジナルコンテンツというのは、製作元がNetflixという意味で、Netflixでしか見れないという意味では必ずしも無い。持っているのはNetflixだが、他に貸し出している場合もある。
かつては「Hulu」でも見れたのだけど(というより僕は最初フールーで見たのだけど)、今はラインナップからは消えている。やっぱりNetflixで見るのが確実だろう。
ちなみに、シーズン1の第1話はオフィシャルサイトで無料で見れる。気になった人はどうぞ。
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