THAAD:中国寄りの韓国野党、早くも米国と対立

 来年の大統領選挙で野党が勝利する可能性が高まっている中、戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備など敏感な外交・安保問題をめぐり、米国と韓国の野党側は早くも対立の様相を呈している。野党側はTHAAD配備や韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などについて延期・見直しの可能性を主張しているが、米国は国防総省・国務省はもちろんホワイトハウスも「変更はない」との考えを示した。

 こうした状況で、中国外務省の耿爽報道官は16日、「THAADに対して中国は何度も明確に反対するという見解を表明した。関連当事国が(THAAD)配備を中止することを希望する」と述べた。同報道官は、最大野党・共に民主党の前代表で、次期大統領選挙の有力候補と目される文在寅(ムン・ジェイン)氏が15日、THAAD配備問題について「次期政権に先送りした方がよい」と述べた報道を見たとして、野党側に肩入れした。THAADをめぐり、米国は与党・セヌリ党、中国は野党の肩を持つ図式が成り立ちつつある。

 野党のTHAAD留保・反対の声は「崔順実(チェ・スンシル)国政介入疑惑」の発覚・拡大で再び強まっている。THAAD配備決定も見直すべき朴槿恵(パク・クネ)政権の政策の一つだということだ。共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は先月末、「THAADは米国の新政権で調整される可能性があり、GSOMIAは再論の余地がある」と述べた。

 一方、ヴィンセント・ブルックス韓米連合軍司令官と米国防総省報道官は「THAAD配備を急ぐ」という趣旨の発言をしている。ブルックス司令官は先月、「THAAD配備は8-10カ月以内に行われるだろう」とも言った。当初は来年の年末とされた配備の時期を、早ければ来年6-7月に繰り上げるという意味だ。

 だが、朴大統領弾劾訴追案の可決以降、THAADやGSOMIAなどに対する野党側の発言はさらに強硬になっている。共に民主党の奇東旻(キ・ドンミン)院内報道官は13日、「THAADは弾劾された政権が押し通すことではない」と、国民の党の金東喆(キム・ドンチョル)非常対策委員長も11日、「THAADとGSOMIAは次期政権で行うべきだ」と述べた。15日には次期大統領選挙の有力候補・文在寅氏が外海外メディアの記者たちの前で、THAAD配備について「次期政権に先送りした方がよい」と明らかにしている。

金真明(キム・ジンミョン)記者
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