英国に拠点を置く複数の日系金融機関が、英政府に対し「欧州連合(EU)から離脱する条件がはっきりしない場合、6カ月以内に業務の一部を英国外に移転する」と警告していたことが分かった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版が16日報じた。
今月1日に開かれた会合で、日本の投資銀行幹部らが、英金融街シティー担当相らに対して伝達したという。日本側からは、日本銀行や財務省の幹部も出席した。
会合では、英国で免許を取ればEU域内で自由に業務ができる「単一パスポート制度」を維持できるかを明らかにしてほしいとの要望が出た。
英国外への業務移転を模索する動きは相次いでいる。世界最大級の保険市場を運営する英ロイズ保険組合、米保険大手AIGなども大陸欧州に軸足を移すことを検討している。
FTは、日系金融機関が米系大手とは異なり、多くの現地従業員を英国内に抱える一方、大陸欧州の拠点は小規模なため、英国のEU離脱による影響をとりわけ強く受けると分析している。