空自の現場が語る救難ヘリコプター、その実力
西南海域で人命救助に携わる航空自衛隊の那覇救難隊。そこに配備されているのが、ハリウッド映画のタイトルにもなった「ブラックホーク」を原型としたUH-60J救難ヘリコプターです。その性能や航続距離、そして任務などにまつわる話を、現場で活躍する現役航空自衛官に聞きました。
広大なエリアをカバーする那覇救難隊の「ヘリ」とは
航空自衛隊航空救難団は全国に10か所、人命救助などの任務にあたる「救難隊」を配置しています。これらの部隊に配備されているのがUH-60J救難ヘリコプター。陸海の自衛隊も運用しており、「大変優秀な傑作機」であると、同機のパイロットである航空自衛隊航空救難団、那覇救難隊の木村友紀3等空佐は語ります。
陸海自衛隊で同機の操縦にあたるパイロットは、小型の練習ヘリコプターから訓練しますが、航空自衛隊だけはある程度、飛行機での訓練を積んだのち、最初からこのUH-60Jでヘリコプターの操縦を学びます。UH-60Jは比較的大きいヘリコプターであり、非常にパワーのある機体です。いきなりこうした大型機で操縦の基礎を学ぶのは難しくないのか、木村3佐に尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。
「実は小型のヘリコプターが、イコール操縦が易しいというわけではないのです。この救難ヘリコプターは大きな機体ですが、その分パイロットをサポートする自動操縦装置などの機器が非常に充実しています。たとえば目標を発見し、そこへ進入して最終的にホバリングしたいといった場合、この機体は自動でやってくれます。ほかにも常に同じ方位を自動で保持してくれるなど、さまざまなアシスト機能があります。小型の機体でこうした装置を搭載しているものは、なかなかありませんので、大きいヘリコプターだから操縦が難しいとは一概にいえません」(那覇救難隊 木村3佐)
通常のヘリコプターは、水平線の見えない悪天候下や夜間において、要救助者の発見やホバリングを行うことは困難です。UH-60Jは、高機能な自動操縦装置をはじめ、「ナイトビジョンゴーグル」や「赤外線暗視装置」「気象レーダー」などがパイロットを補佐し、厳しい気象条件で出動することの多い救難隊がこなせる任務の幅を大きく広げてくれます。
映画 「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-」で見ましたね。