看護師だった長女(当時23歳)が2012年に自殺したのは過重労働が原因として、札幌市の母親(53)が15日、国に労災認定を求め、札幌地裁に提訴した。長女は勤務直後から月47~91時間の時間外労働を続けていたといい、「甘ったれでごめんなさい」との遺書を残して自殺した。代理人弁護士は「睡眠時間も削られ、長時間労働で心身ともに疲弊していた」と指摘した。
亡くなったのは、国家公務員共済組合連合会が運営する「KKR札幌医療センター」(札幌市豊平区)に勤務していた杉本綾さん。大学卒業後の12年4月に就職したという。
訴状によると、タイムカードの記録では同5月の時間外労働は91時間40分に達し、その後も時間外で65~85時間勤務。就職1年目ということもあり、自宅に仕事を持ち帰っていたといい、1人暮らしをしていた札幌市内のアパートで同12月に自殺した。「自分が大嫌いで、何を考えて何をしたいのか何ができるのか、わからなくて苦しくて」「甘ったれでごめんなさい」などとする遺書を残していた。
母親は14年1月、杉本さんが当時、うつ病だったとする医師の意見書をつけ、札幌東労働基準監督署に労災認定を申請。同労基署はうつ病の発症は認めたが、「自殺と業務の因果関係はない」と判断し、労災を認めなかった。12年6月まで同居していたという母親は記者会見し、「1日の睡眠時間は2~3時間だった」と訴えた。
体や心を壊し、亡くなる過労死の危険性がある時間外労働は、月80時間とされる。【安達恒太郎】