鳥インフル:韓国で危機「深刻」最高段階に引き上げ

 韓国政府が高病原性鳥インフルエンザ(AI)に対する危機警報を「警戒」から最高段階である「深刻」に引き上げることにした。

 農林畜産食品部(省に相当)は「民間人と防疫専門家が加わった家畜防疫審議会を開き、危機段階を「深刻」に引き上げることになった」と15日、発表した。AI危機警報における「深刻」という段階は、2010年12月から11年3月にかけても発令されたことがある。しかし、当時は口蹄(こうてい)疫が広まった状況でAIが発生、「深刻」発令もAIではなく口蹄疫が理由だった。AIが理由で「深刻」が発令されたのは今回が初めてということだ。

 危機警報の段階が「深刻」に引き上げられると、政府が飼料工場や食肉処理場など家畜関連施設を閉鎖することができる。鶏肉など家禽(かきん)類を売る伝統市場も閉鎖でき、AIワクチンの接種も可能となる。政府は「深刻」警報発令に伴う追加措置の内容について、関係部処(省庁)の協議を経た上で、金在水(キム・ジェス)農林畜産食品部長官名義で16日に談話を発表する予定だ。同部関係者は「生きている鶏については、伝統市場への供給を既に止めており、現時点で伝統市場まで閉鎖する可能性は高くない」と述べた。

 政府はこれまで、家禽類と卵の消費が急激に減る可能性を懸念し、「深刻」段階への引き上げに消極的だった。しかし、殺処分規模が過去最大記録を連日塗り替えるなど、状況が悪化し続けているため、最後の切り札を出した。AIによる殺処分数は同日までに1543万羽に達している。

 AIはこれまで最後の安全地帯となっていた慶尚道地域にも広がる様相を呈している。釜山市機張郡の地鶏農家は同日、「AIと疑われる大量死が発生した」として防疫当局にAIの疑いを通報した。

 政府の防疫帯を越えた遠距離感染例も初めて確認された。先月28日に発生した忠清北道陰城郡の農家と、7日に発生した京畿道安城市の農家の遺伝子型が一致したことが確認された。政府では、畜産関係車両にウイルスが付着して遠距離まで広まったものと推定している。

郭来乾(クァク・レゴン)記者
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