台湾の鴻海科技集団(フォックスコン)に買収された日本のシャープがサムスン電子に対する液晶パネルの供給を中断すると通告したことを受け、サムスン電子とLGディスプレーが製品の相互購入を避けてきた長年の不文律を打破し、協力関係を構築するかに注目が集まっている。
LGディスプレー関係者は15日、サムスン電子からのテレビ用液晶パネル供給要請について、「サムスン電子から具体的な購入提案があれば、来年度の需給状況と採算性を考慮し、供給の是非を前向きに検討する」と説明した。業界ではLGディスプレーがサムスン電子の必要量を全量供給するのは難しいが、一部は供給が可能だとみている。
これに先立ち、サムスン電子はシャープによる突然の供給中断通告を受け、LGディスプレーの役員を送り、パネル供給を要請した。サムスン電子がLGにパネル供給を求めたのは今回が初めてだ。サムスンとLGはこれまで互いの系列会社からディスプレーを調達したことはない。テレビ用パネルだけでなく、サムスン電子はLG化学からスマートフォン用バッテリーの供給を受ける協議も進めている。ギャラクシーノート7の生産中止で既存のバッテリー供給元であるサムスンSDI、ATL以外の新たな供給元としてLG化学を検討している形だ。
しかし、両社には相手方に対するけん制心理とプライド競争が残っており、異例の決定は難しいとの見方もある。サムスンとLGのディスプレー事業は2000年代初めから世界首位を激しく争ってきた。互いの製品を使用しないのはもちろん、相手方の下請け企業からの納品も制限してきた。両社に詳しい電子業界幹部は「サムスンとLGが感情的に対立していた当時とは状況がかなり異なるので、両社が現実的な必要性に沿って前向きに協力する可能性がある」と指摘した。