【社説】国連に別れを告げた潘基文事務総長の進路

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が12日、国連総会で告別の演説を行った。31日の任期終了を前に、加盟193カ国に対して惜別のあいさつをしたのだ。潘事務総長の功績をたたえる決議も採択された。潘事務総長は過去10年にわたり、国際平和・開発協力・人権改善という国連の3大理想を実現するため努力した事務総長と評価されている。西欧メディアから批判も受けたが、国際紛争の解決や気候変動問題、女性の地位向上のため東奔西走したことは認められてきた。

 多くの韓国国民は、国連を離れる潘事務総長のことを注視している。潘事務総長が韓国大統領選挙への出馬について公に語ったことは一度もない。しかし知名度の高さから、大統領選の候補の一人としていつも名前が挙げられていた。最近の世論調査では、潘事務総長は20%前後の支持を集め、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表と1-2位を争ってもいる。

 韓国国民が大統領選の候補として潘事務総長に期待するのは、やはり外交・安全保障の分野だろう。韓半島(朝鮮半島)が強権スタイルの「ストロングマン」指導者に取り囲まれている現実の中、外交・安全保障は死活が懸かった問題だ。潘事務総長が米中日ロの指導者とすぐに電話で話し合えるというのは利点だろう。輸出で食べてきた国において、円満な国際関係を維持する適任者でもある。穏健かつ合理的な性向を高く評価する人もいる。

 しかし潘事務総長は、韓国の国内政治の経験が全くない。乱麻のごとくもつれ合った国内政治問題をほぐしていく政治力は未知数だ。10年間韓国を離れていたことで、経済の停滞、二極化、社会対立問題についての認識や知識が乏しいという指摘も多い。韓国国民は、こうした重要な事案について潘事務総長がどのような見解を持っているのか、聞いたことがない。さらに潘事務総長は、ほかの政治家とは異なり、検証の舞台にきちんとさらされたこともない。

 今の韓国の国内政治状況は、潘事務総長が有力な大統領選ランナーに挙げられていた少し前の政治状況とはかなり異なるものになった。潘事務総長が出馬を決心したとしても、基盤にする政党は見当たらない。潘事務総長は「来年1月中旬に韓国へ戻った後、どのような形で韓国社会に寄与するのが最善か、意見を聞く」と語った。潘事務総長が出馬するとなると、すぐさま大統領選の構図にも影響が及ぶだろう。有権者は、世界的な外交官だが政治家としては新人ともいえる候補を評価しなければならない。初めての事態だ。潘事務総長の進路が注目される。

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