【コラム】韓国の海運を張保皐以前に後退させた後手に回った対応

【コラム】韓国の海運を張保皐以前に後退させた後手に回った対応

2016年12月15日08時57分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
comment
0
share
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixi
  「それでも半分の従業員がSM商船に雇用継承され幸いです」。

  韓進(ハンジン)海運陸上労組のチャン・スンファン委員長(49)は意外に淡々としていた。彼は全従業員解雇という最悪の状況を避けられたことだけでも幸いと考えているようだった。韓進海運北米路線を買収したSM商船で290人の従業員を受け入れたためだ。だがSM商船に移籍できなかった残り半分の従業員は会社を辞めなければなければならない。

  チャン委員長は今週から出勤せず自宅で休んでいる。彼は海洋大学を卒業した後、韓進海運に入社して25年にわたり同社に通った。かつて世界4位の海運会社だった韓進海運は海洋人の夢を抱いた彼に最高の職場だった。入社後数年は貨物船に乗って大洋を駆け回り、中国・上海支社で勤務したりもした。「張保皐(チャン・ボゴ)の後裔」になるという彼の夢は韓進海運の法定管理で砕け散った。最悪の物流大乱を迎え徹夜の作業の末にやっと荷役を終えたが従業員に返ってきたのは解雇の激しい風だった。生きるために何人かの従業員が集まり労組を急造した。だれも立ち上がる人がおらず彼が柄にもない労組委員長を志願した。

  チャン委員長は現在の状況がよく理解できていないと話した。韓進海運がよくやったというのではない。趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長にも重大な責任があると彼は考える。趙会長が自分の株式をすべて差し出すので会社だけは生かしてほしいと政府と債権団に泣訴したならばどうなっただろうか。少なくとも1兆ウォン以上の損失が出た物流大乱は防げたというのが彼の主張だ。

  韓進海運の法定管理の結果は残酷だ。韓国1位の韓進海運は再建計画案もまともに出せないまま清算手続きを踏んでいる。2位の現代商船の未来も依然として不透明だ。現代商船は海運アライアンス2Mの正式加盟に失敗した。提携水準の契約も屈辱的な条項だらけだ。今後3年間2Mの同意なく大型船舶を発注することができなくなっている。大規模な貨物はメジャーが担当するのでマイナー(現代商船)は小物だけ担当しろという話だ。

  世界の海運会社は生き残るために買収合併を通じて規模を拡大している。韓国の海運だけ辺境のマイナーに縮小している。業界では海洋大国韓国が張保皐以前に没落したという無念の声も出てくる。

  海洋水産部の金栄錫(キム・ヨンソク)長官は15日に海運産業支援に向けた政策金融懇談会を開く。一言であきれた後手に回った対応だ。海洋水産部傘下機関である韓国海洋水産開発院(KMI)は韓進海運法定管理前に3回も報告書を出した。特に法定管理直前である8月19日に出した報告書は物流大乱を警告している。もし政府が海運業の特性を考慮して専門家らの衆知を集めて速やかに対策を立てていたとすればこうした無茶苦茶な決定(清算)を下さなかっただろう。

  通貨危機後に裁判所出入り記者と経済部記者を経ながら多くの企業の構造調整過程を見守った。中には現代建設やハイニックスのように危機を克服して生き返った企業も多い。いまうまく行っているハイニックスも一時は債権団の間で生存は不可能だとみられた。だが当時の政府と債権団は現在よりはるかに情熱的に構造調整を主導した。債権団会議が随時開かれ激論が交わされた。一方では既存大株主の経営権を剥奪し骨を削る構造改革を断行した。構造調整成功の核心は政府が未来価値を見てリーダーシップを発揮することだ。

  来年の韓国経済はもう一度構造調整の渦に巻き込まれる可能性が高い。この過程で政府が誤った判断を下せば数千億ウォン、数兆ウォンの国家的損失を被りかねない。ところが責任を負うべき主体(官僚・銀行・大株主)は抜け、弱者(労働者・下請け業者)ばかりが血を見ている。いまも海運構造調整失敗の当事者である柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相と任鍾竜(イム・ジョンリョン)金融委員長はポストを維持している。ろうそくの明かりが韓国の民主主義を守った。だが与野党とも経済には無関心だ。韓国経済は現在風前の灯火だ。経済のリーダーシップを回復しなければだれが政権を取っても執権初めから致命的負担を抱えて始めなければならないだろう。首相は仕方ないとしても、すでに退くと明らかにした経済副首相を留任させるというのが話になるだろうか。

  チョン・チョルギュンJpressbiz代表
【今日の感想】この記事を読んで・・・
興味深い
悲しい
すっきり
腹立つ
役に立つ

今日のイチオシ記事