なぜ肝臓に脂肪が溜まってしまうの?

更新日:2016/12/09

脂肪肝の原因

食物中の脂質や糖質は肝臓によってエネルギーに変換されますが、これらを摂り過ぎると、中性脂肪が肝臓に溜まり脂肪肝などの肝機能障害に繋がります。ここでは、中性脂肪が肝臓に溜まるメカニズムを詳しく説明しています。

肝臓

そもそも肝臓は、食べ物から吸収された栄養をエネルギーに変えて全身に送る、または貯蓄することが主な役割です。「脂肪肝」とは、肝臓にこのエネルギー源となる脂肪が過剰に蓄積された状態です。

では、なぜ脂肪が肝臓に溜まってしまうのでしょうか。

肝臓の3つの働き

肝臓の働きには、大きく分けると「解毒」「分泌」「代謝」の3つの機能があります。

解毒はアルコールなど有害物質が身体に入ってきた時に無毒化する機能、分泌は腸で消化液となる胆汁を作る機能、代謝は腸から吸収された栄養を体内で利用できる形に作り変える機能です。これらの機能が、脂肪肝に大きく関わっています。

肝臓に脂肪が溜まるメカニズム

食物から摂取された糖質や脂質は、小腸で分解されたのち肝臓へ運ばれます。ここではコレステロールやリン質、中性脂肪といったさまざまな脂肪に合成されます。

肝臓から中性脂肪が血液中に送り出される時は、必ずタンパク質と結びついて「リポたんぱく」という物質になって送り出されます。過食や大量の飲酒によって中性脂肪が多く作られると、栄養バランスが崩れてタンパク質も不足し、「リポたんぱく」が作られにくくなります。

その結果、中性脂肪を肝臓の外に送り出す機能が低下し肝臓内に中性脂肪がどんどん溜まり、脂肪肝が起きるのです。肝臓に中性脂肪が大量に蓄積されているということは血液中の脂質も高くなり、大きな病気に繋がる危険性もより高まります。

中性脂肪って悪者?

では、中性脂肪は人間にとって必要がないのでしょうか。

確かに血液中の中性脂肪が増え過ぎると、心臓から送られた血液を運ぶ動脈が硬くなり動脈硬化になる傾向が高くなります。動脈硬化になると血管の内側の壁に悪玉コレステロールが溜まり血管が狭くなる上、硬くもろくなるので血栓ができたり血管が破れやすくなります。さらに動脈硬化が悪化すると、脳梗塞や心筋梗塞など生死に関わる病気を発症する危険が出てきます。

ですがその一方で中性脂肪は私たちの大切な身体の臓器を守り、身体を動かすエネルギー源となります。正常範囲内であれば、とても必要な物質なのです。

バランスのとれた食事や適度な運動を心掛け、必要以上の中性脂肪を増やさないように日常的に自己管理をしていくことが大切です。