肝臓、中性脂肪とアルコールの関係

更新日:2016/12/09

脂肪肝の原因

脂肪肝の原因のひとつであるアルコールを取り上げて、肝臓への影響を解説します。脂肪肝の主な原因は肥満、アルコール、糖尿病とされています。生活内で身近な存在のアルコールの基礎知識をきちんと身に付けていきましょう。

アルコール

一般的にアルコールをとり過ぎるのは肝臓に良くないとされていますが、これは事実です。アルコールが体内に入ると、そのほとんどが肝臓で分解されるため、個人差はあっても過度な飲酒は肝臓への大きな負担となります。

自分はお酒に強いから大丈夫と思っている方も、自分では気づかないうちに肝臓に負担をかけている可能性があります。アルコールと上手くに付き合っていくためにも、しっかり学んでいきましょう。

アルコールが分解される仕組み

アルコールは体内に入ると、1度、胃や小腸に吸収されて血液に入り、その約90%が肝臓へと運ばれます。その他、残りの10%は体内で代謝されないまま、汗や尿などで排泄されます。

肝臓に運ばれたアルコールはその後、肝臓内で無毒化される工程に入ります。この工程で主に活躍するのは、ADH(アルコール脱水素酵素)とALDH2(アルデヒド脱水素酵素)という酵素です。

まず、ADH(アルコール脱水素酵素)がアルコールを毒性のあるアセトアルデヒドに分解します。その後、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素)がアセトアルデヒドを無害な酢酸へと変化させ、全身を巡った後に水と炭酸ガスに分解され体外に排出されます。

アルコールを摂取して頭が痛い、顔が赤くなるといった現象は、このアセトアルデヒドが肝臓内で十分に分解されていないことが原因です。これは、アルコールの過剰摂取が招く状態であると言えるでしょう。これが繰り返されるとアセトアルデヒドが脂肪の分解を抑制し、同時に脂肪酸(中性脂肪の原料)の合成を高めるため肝細胞内に中性脂肪が溜まり、脂肪肝になりやすくなります。さらにこの状態が悪化すると「肝硬変」や「肝がん」など重い病になる危険性も出てきてしまうのです。

脂肪肝になりやすいアルコール量って?

脂肪肝はアルコールの過剰摂取が原因のひとつですが、どのくらいの摂取量で発症するのでしょう。基準とされているのは、1日3合程度の日本酒の飲酒を2~3年毎日続けること。でもこれはあくまでも平均基準なので、お酒に弱い方がこれを続けてしまうと、さらに発生率が5~10倍になる可能性もあります。

また、お酒が強いから大丈夫と考えている方も要注意。脂肪肝やその他の肝機能障害の原因は、「飲酒の量」と「飲み続けた期間」とされています。強いからといって毎日お酒を飲み続けていると、それだけ肝臓に負担が掛かり肝臓の病気が発症する危険が高くなっていきます。

(1)脂肪肝って?

脂肪肝はアルコールのとり過ぎや過食によって、中性脂肪などが肝臓に大量に溜まることから起こります。肝臓にはもともと脂肪を蓄える機能がありますが、通常ならば10%程度の中性脂肪の蓄積が30%を超えると脂肪肝と判断されます。

どちらかと言えば男性に多い病気と言われていましたが、今では女性もホルモンの影響などがあり、脂肪肝になる可能性は大いにあると考えられています。

(2)健康的なお酒の飲み方

お酒は大量に飲むと身体に悪影響を及ぼしますが、少量であれば健康の促進になると言われています。食事を美味しくしたり緊張をゆるめて場を盛り上げたり、少量ならば疲労回復の効果もあるそう。とは言え、そこには個人差があります。

目安とされているのはアルコール量20g程度。ビールならば中瓶1本、日本酒なら1合(180ml)に相当します。これは体重60~70kgの方が、アルコールを肝臓で分解するのに3時間かかる量。この量はあくまでも基準です。まずは飲み過ぎないこと、休肝日を週2~3日はつくることなど、肝臓を労るお酒の飲み方を心掛けましょう。