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 中国政府が発行した切手の絵柄をめぐり、ベトナム側がこの切手の廃止を求める騒ぎになっている。両国が領有権を主張する南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島に中国が一方的に建設した五つの灯台を描いたもので、ベトナム情報通信省は「ベトナムの主権に対する深刻な侵害だ」と抗議する声明を発表した。

 国営ベトナム通信電子版が14日報じた。声明によると、同省傘下のベトナム郵便会社は中国郵政に対し、この切手を廃止し、同じ行為を繰り返さないよう求めたという。

 切手は南沙諸島のクアテロン、ジョンソン南、スビ、ファイアリー・クロス、ミスチーフの五つの岩礁に中国が建設した灯台を一つずつ描いた計5種類。中国国内で1枚の額面1・2~1・5元(約20~25円)で販売されている。

 中国は南沙諸島の七つの岩礁や浅瀬を埋め立てた人工島に、灯台や滑走路の建設を進めている。今年7月、仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は同じく領有権を争うフィリピンの訴えに対し南シナ海での中国の主張をほぼ全面否定する判断を出したが、中国側は受け入れていない。(マニラ=鈴木暁子)