フォトジャーナリストたちがプロ用カメラに暗号化機能を求めた
アレッポでの爆撃を背景にして、 Freedom of the Press Froundation(自由報道財団)は、大手カメラ会社の経営幹部に対して、今日のデバイスにおける暗号化の不備の責任を問う公開書簡を送った。
従来のメーカーは、現在暗号化を提供していない。もし暗号化があれば、敵対的な環境における特定のシナリオの下で、貴重な映像を保護するための差別化が可能になる。エドワードスノーデンが取締役会のメンバーとして加わっている同非営利団体は、150人のフォトジャーナリストと映画制作者の支持署名を集めた。
「暗号化機能がなければ、私たちが撮影した写真や映像は、私たちが活動し、移動する国の警察、軍隊、国境警備員によって検閲や調査を行われて、その結果は悲惨なものになる可能性があります」と公開書簡は訴えている。
NikonとCanon、その他のメーカーが次のステップを探るのを待つ間に、既に暗号化を実装している注目すべきカメラのスタートアップがある — Lightだ。Canon 5D Mark IVに肩を並べるほどのものではないが、Lightの新しいマルチレンズカメラL16は、おそらく市場に暗号化ソリューションを持ち込む競争で、重厚長大な競合他社のカメラたちに打ち勝つことだろう。
パロアルトを拠点とする同社は、出荷の遅れに苦しんでいる、しかし同社CEOのDave Grannanは、同社のカメラが市場に出る時にはデータ全てが暗号化されるとTechCrunchに説明した。Grannanはさらに、強力な非対称鍵暗号が、チームのロードマップ上にあることも指摘した。後者は、基本的なAndroidの暗号化では提供できないギャップを埋めるのに役立つが、今のところそれは良いスタートを切っている。
LightのカメラはAndroidプラットフォーム上に構築されているため、基本的な暗号化の実装はとても簡単だった。これは、Androidの生態系に命を吹き込んだ消費者向けスマートフォンにとって、暗号化は新しい命題ではないためだ。真の疑問は、なぜ2016年にこれらのデバイスが、数千ドルのDSLR(Digital single-lens reflex:デジタル一眼)よりも高いセキュリティを提供するのかということだ。
Grannan氏は、インタビューの中で、「ビジネスケースを精査して、市場規模がどれほど大きいかを尋ねたところから生まれだけです」と語った。
フォトジャーナリストたちにとっては残念な話だが、消費者マーケットは専門のプロフェッショナル向け機器のマーケットよりもかなり大きい。カメラに暗号化機能を追加することは、主要なカメラメーカーに求められる倫理的行動だが、倫理だけが唯一の理由ではない。この動きを必要とする強力なビジネスケースがある。
日々カメラはより多くのものにつながっている、そして接続が増えるとリスクも増大する。私たちは皆、有名人たちに対する「ハッキング」の影響を目撃してきた。今日、消費者はスマートフォンを使って写真やビデオを撮影しているかどうかにかかわらず、それらの写真やビデオが安全だと確信したがっている。
「いまでは、基本的な暗号化機能を持たせずにゼロからカメラを作り上げる者はいません」とGrannanは付け加えた。
暗号化されたカメラの必要性は、戦争で荒廃したシリアの町を越えて広がっている。警察の残虐行為や記録を必要とする危険性の高い出来事を捉えるために、世界が普通の市民にますます頼るようになるにつれて、消費者と専門家の市場はより絡み合ってきている。
素早い暗号化処理のために計算負荷が大きくなる懸念もあるが、カメラがより速くパワフルになるにつれ、その議論は意味をなくしつつある。プロのソリューションが、コンシューマー向けの対応機能にいつ追いつくかだけの問題なのだ。
この移行が進む過程で、暗号化が実際に戦火をくぐるジャーナリストたちを、どの程度本当に助けることができるのだろうかという点に関する議論の余地はまだ残されている。その点に興味があるなら、この記事を読むことをお勧めする。
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(翻訳:Sako)
写真:Edward Kinsman/Getty Images