新海誠監督が明かす 映画「君の名は。」と「ムー」の秘密

重要アイテム「ムー」

興行収入200億円を超えた、2016年最大のヒット映画『君の名は。』。その劇中になんと「ムー」が登場していたことに、お気づきだろうか? 青春映画になぜ本誌が? ムー読者“テッシー”が物語で果たした役割とは? この事実について真意を伺うべく、新海誠監督を直撃した!

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「ムー」読者のテッシー大活躍!

「ムー」は小中学生のときによく読んでいました。『君の名は。』のサブキャラクターで勅使河原克彦(愛称:テッシー)という男子高校生が出てくるんですが、彼は「ムー」の愛読者。ヒロインの宮水三葉は男の子と心が入れ替わって行動がおかしくなって、荒唐無稽なことをいいだすのですが、そのときに率先して助けてあげるんです。

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テッシーの部屋に「ムー」。「本屋がない」街なので、彼は定期購読などで入手しているのだろう。

 

それは、彼がひそかに三葉を好きだからなんですが、それだけだと説得力が弱いと思って、そういう不思議な現象を受け止める素養を示すためにも「ムー」を出したんです。「ムー」読者というだけで、いろいろなことが観客にすぐ伝わると思ったんですが、あとで今の若い子の中には「ムー」を知らない人も多いと聞き、どれだけ通じるのか不安もありました(笑)。

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入れ替わりによって言動がいつもと違う三葉を「ムー」的に説明しようとするテッシー。

 

劇中では、テッシーが「ムー」を読んでいて、三葉たちに得意げにアカシック・レコードの記事が載っているページを見せるシーンがあります。そして実は、ラスト付近でも、テッシーは鞄の中にムーを忍ばせているんです。1.5秒くらいのカットなんですけど、その表紙に「ティアマト彗星は人工天体だった」と書いてあるんですよ。ほとんどの人は気づかないと思いますけどね。彼はそういう記事も読んで行動していたわけです。

テッシーのオカルト好きな側面が語られることは少ないので、ここではっきりいっておきたいですね。勅使河原にとって「ムー」はすごく重要なんです!

 

*後編は12月25日に公開予定です。

 

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新海誠

1973年生まれ。長野県南佐久郡出身。2002年に個人制作の短編『ほしのこえ』でデビューし、長編5作目の『君の名は。』が興行収入で邦画歴代2位の大ヒット作となった。

 

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『君の名は。』

東京に暮らす瀧と山深い田舎町で暮らす三葉の「入れ替わり」現象と、1000年ぶりに地球に接近する彗星をめぐる青春物語。全国の劇場で公開中。

 

(「ムー」2017年1月号より抜粋)

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