政府は15日午前、天皇の退位に関する安倍晋三首相の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の第6回会合の議事概要を首相官邸のホームページで公表した。地方訪問など憲法に規定のない天皇の公的行為について、陛下が退位するまでに皇太子さまに移行していく考えで大筋一致していたことが分かった。
第6回会合は7日に開催。議事概要によると、公的行為について有識者からは「次世代の天皇になる方に仕事をある程度譲っていただいた後で皇位の継承があった方が、国民も分かりやすい」として皇位継承の混乱を防ぐことができるとの意見が出た。また、「安定的な皇位継承のため、皇太子ご夫妻に少しずつ分担しながらご経験を深めていただくことも考えられる」と天皇に即位する準備として公的行為の移行が望ましいとの声もあった。発言者の氏名は伏せられた。
ただ、実際に公務を移行することが可能かとの有識者からの質問に対し、宮内庁側は「公務の削減はこれまでも取り組んできており、これ以上の削減は困難」と消極的な考えを示した。【田中裕之】