新国立競技場に屋根!五輪開催後の設置検討

2016年12月15日5時0分  スポーツ報知
  • 新国立競技場の屋根を設置した場合

 政府が2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の収益や稼働率を上げるため、大会後にフィールド部分を覆う屋根の設置を検討していることが14日、分かった。政府関係者によると、すでに施工者となる大成建設や梓設計に、屋根の設置が技術的に可能かどうかなどの検証を進めるよう要請した。大会後は運営権を民間事業者に売却するコンセッション方式を軸に検討を進めており、屋根設置などの改修費用は新国立を運営する事業者負担とする案などが挙がっている。

 政府は新国立の旧整備計画が総工費の膨張により白紙撤回されたことを受け、大会後の運営管理に関する検討ワーキングチームを設置し、収益確保に向けた議論を続けてきた。

 現在の建設計画を担当する建築家の隈研吾氏らの案では整備費を抑制し、工期を短縮するため観客席部分だけを屋根で覆いフィールド部分は設置せず、最終段階で冷暖房の設置も見送ったが、大会後にフィールド部分を屋根で覆うことで稼働率などが上がると判断した。政府は、大成建設などの共同企業体(JV)にも屋根のほか、冷暖房の設置などの改修が可能かどうか検討するよう打診しており、19年11月の完成前までに判断するとみられる。旧計画では開閉式屋根を設置することでコンサートの開催も想定していた。

 政府などは事業費の1490億円は負担するが、大会後の屋根設置などの改修費用については支出はせず、運営する民間事業者に負担させる案が挙がっている。屋根の設置により、雨天でも一定の集客が見込めるコンサートなどが開催できるメリットがある。実現すれば、新国立はスポーツと文化イベントの兼用となり、旧国立とは大きく形を変えたスタジアムとなる。

 大会後も陸上トラックと球技の兼用スタジアムとした場合、サッカー日本代表戦などを除き、集客は見込めず、収益確保が難しい状況だった。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)の試算では、人件費を除いた年間の維持管理費は約24億円とされている。

 課題も残されている。フィールド部分を屋根で覆った場合、技術的な問題で天然芝は養生できないため、人工芝への仕様変更が必要となる。集客の見込めるサッカー、ラグビー、アメリカンフットボールでは人工芝でも開催可能だが、ピッチコンディションなどへの配慮が求められる。

 また、コンサートを開催する場合、周辺への騒音対策が必要となる。屋根の設置で遮音効果が得られるかは今後、検証が進められるという。大会後に、陸上競技の国際大会に必要な補助競技場(サブトラック)の用地を確保できるかどうかも決まっていない。

 ◆改修で屋根付きとした事例 プロ野球・西武が本拠地とする西武球場(現・西武プリンスドーム、埼玉・所沢市)は1979年に建設され、99年にドーム化した。設計段階からドーム化を想定しており、総工費は約100億円。雨天中止がないため施設の稼働率が向上した。ただ、風通しが悪いため夏は気温が上昇し、日中の試合は難しい。また、冬は気温が下がるデメリットもある。

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