ぼくは一ヶ月ほど前からエビリファイ(アリビプラゾール)をカリフォルニアロケットに追加して服用している。その効果は驚くほどで、この組み合わせを使用してから特に朝の感情がスッキリとして、無理なく会社にも出社できている。
そこでなぜこれほどの違いが出たのかを考察してみた。
カリフォルニアロケットとは?
カリフォルニアロケットというのはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)とNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)の組み合わせをいう。SNRIは例えばトレドミン、サインバルタ、イフェクサーが挙げられる。また、NaSSAはリフレックス/レメロン(これは商品名が違うだけで中身は同じもの)である。
この両方を併用するのがカリフォルニアロケットと呼ばれ、これはNaSSAのセロトニン、ノルアドレナリンの分泌を増やし、SNRIでこれらの脳内ホルモンの出口をふさぐことによって脳内ホルモン濃度を爆発的に増やすことを狙ったものだ。
エビリファイの追加による効果
しかしぼくのように、これを服用してもイマイチ効き目が現れない、といった患者もいる。重度のうつ病患者や、非定型うつ病の患者、またはぼくのような双極Ⅱ型障害の患者だ。
そのような患者にエビリファイを少量加えるとカリフォルニアロケットが「核弾頭付き」(ちょっと表現が悪いが)、と言った感じに劇的に効くようになる(もちろん個人差があると思うが、ぼくの場合は効き目がある。)。
エビリファイとは?
エビリファイはアリビプラゾールと呼ばれる抗精神病薬で、主に統合失調症に用いられる薬である。統合失調症は快楽をつかさどる脳内ホルモンのドーパミンの分泌以上によって引き起こされると考えられており、エビリファイはこのシステムに働きかけ、多すぎる場合は分泌を押さえ、少ない時は分泌を促進する、というDSS(ドーパミンシステムスタビライザー)という2013年に承認されたばかりの新薬である。
エビリファイが抗うつ効果を増加させる原理
残念ながらエビリファイがどのような仕組みで抗うつ薬の抗うつ効果を増強させるのか?についてはまだ良くわかっていない。今後の研究が待たれるところだが、重要なのは「さじ加減」である。エビリファイ単体では抗うつ効果はまったくなく、必要とされるエビリファイの量も基本的には少量でなければならないらしい。現にぼくは最も少ない3mgを服用している。
しかしエビリファイは血中濃度半減期が61時間と長いため、一日一回の服用でも効果はなかなか切れる感じがしない。むしろイフェクサーの血中濃度半減期が早いため、そちらのほうが切れる感覚のほうが早く感じる。(たしかイフェクサーの半減期は9時間だったと思う。)
結論
少量のエビリファイが抗うつ薬と組み合わさった時、カリフォルニアロケットは補助エンジン付きカリフォルニアロケットとなる。(補助どころではなく出力が大幅にアップする、と言っても過言ではない。)この理由が解明されれば、抗うつ薬も新たな段階に入るのではないか?と期待している。