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社会

鳥インフル、感染防止を 知多半島各地、養鶏農家らの意識高める

 名古屋市の東山動植物園で、飼育する鳥から相次いで高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が判明していることを受け、知多半島でも市町や業界団体が、養鶏農家に消毒用の消石灰を配るなどの感染防止を進め、予防意識の徹底に努めている。

◆資材配布

 他市町に先駆けて今月5日から、消毒用の消石灰配布を始めた常滑市。鹿児島県と青森県での鳥インフルエンザウイルス感染を受け、似たような状況で7年前には東三河地域で感染が発生したことから、急きょ資材を発注した。

 市内は16の業者や農家がニワトリとウズラ計100万羽を飼育する県内有数の鶏卵産地。市は各業者、農家それぞれに消石灰400キロと消毒液1リットルを9日までに配った。市担当者は「量は少ないが、生産者の予防意識の徹底につなげてもらう意味もある」と話す。

 阿久比町内には養鶏場5カ所、ウズラの養鶉(ようじゅん)場が1カ所あり、経営する農家6戸に町が消石灰200キロと消毒液1リットルずつを配布した。13日には町役場の職員16人で家畜防疫対策本部を設置し会議を開催。町内の家禽(かきん)が感染した場合に備え、対応を確認した。

 半田市は消石灰2600キロと消毒液8リットルを7日に購入。市内の5戸の養鶏農家と、鳥類を飼育している半田農業高校、雁宿公園、社会福祉法人むそうに配布している。

 東浦町は町内の養鶏場5施設に配るため、8日に消毒用の消石灰と消毒液を手配し、配布している。各施設ごとに、消石灰200キロと1000倍に薄めて使う消毒液1リットル入り1本を配った。5施設ではヒナを合わせてニワトリ計9万羽を飼育している。

 大府市は7、8日に消毒用の消石灰と消毒液を購入。ヒナを含めてニワトリ計5万8千羽がいる養鶏2業者にそれぞれ消石灰400キロと消毒液1リットル入り1本を配布。研究用としてニワトリ1800羽を飼っている飼料会社には消石灰80キロと消毒液1本を提供した。

 知多市では、農家3戸がニワトリとウズラ計3万7400羽を飼育。これまでに18リットル入り消毒液各1缶と消石灰200キロずつを配布済みで、年末に向けて消石灰の追加配布を進めている。

 武豊町は町内の養鶏農家5戸にそれぞれ消石灰400キロ、消毒薬1本を配布。

 美浜町では町畜産団体連合会が今月5〜9日、養鶏農家をはじめ、養豚、酪農、肥育牛農家に消石灰計3千キロを、町養鶏組合が養鶏農家に同じく1200キロを配布、予防を呼び掛けた。

◆公園

 東海市の大池公園では、フラミンゴやインドクジャク、チャボなど10種類63羽を飼育。指定管理者の市施設管理協会によると、園内で野鳥の死骸が見つかった場合の対応などを県の担当者らと確認し、園内の監視を徹底しているという。

◆養鶏会社社長「やれることやる」

 ニワトリ40万羽を飼育する美浜町の養鶏会社「アイナン産業」は、11月に鹿児島県で鳥インフルエンザウイルスを検出したとの発表を受けて、鶏舎の外にまく消石灰の回数を週2、3回から4回に増やした。

 13鶏舎のうち、窓のある鶏舎は1つだけ。それ以外は鳥インフル対策も兼ねて、10年かけて野鳥の入りにくい窓のない鶏舎に替えた。

 斎藤大士(ひろし)社長(37)は「もし鳥インフルエンザが発生したら近隣に迷惑が掛かる。どんなにやっても100パーセント防ぐことはできないが、極力やれることをやっていきたい」と話した。

 阿久比町と半田市に養鶏農場を持つ農業杉浦康治さん(31)は「自前でも消石灰を1000キロ購入し、できることは全てやっている。近くの名古屋市であったということで、危機的状況だ。将来的には鶏舎を密閉できるタイプのものに変えていくことも考えている」と話した。

(中日新聞)

運び込まれた市提供の消石灰を搬入する従業員=5日、常滑市のデイリーファームで

運び込まれた市提供の消石灰を搬入する従業員=5日、常滑市のデイリーファームで

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