カジノ含むIR 日本進出目指す海外企業の動き活発に
カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備推進法が、14日夜から開かれていた衆議院本会議で、自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立しました。これを見越して、日本国内への進出を目指す海外の企業の動きも活発化しています。
アメリカ・ラスベガスに本社があり、20以上のリゾート型の施設をアメリカと中国で展開している「MGMリゾーツ・インターナショナル」もその1つです。この会社は、2年前から東京と大阪に事務所を構えて市場調査などを行っています。
MGMリゾーツ・インターナショナルで政府や企業との交渉にあたる部門のアラン・フェルドマン副社長はNHKの取材に対し、「日本に来る観光客が増えるなどさまざまな経済効果が期待できる。大阪は、関西の中心で魅力的な観光スポットがあるなど、多くの可能性があるところだ。日本政府や自治体、企業と一緒に日本らしい施設の設置を実現したい」と述べました。
そのうえでフェルドマン氏は「IRについて誤解している人もいるが、IRはカジノだけでなく、国際会議場、ショッピング施設、レストラン、ホテル、スパなどさまざまな施設の集合体だ。世界中を見ればIRができたからといってギャンブル依存症の人が増えたということはない。また、依存症の人のためのプログラムも十分にある」と述べました。
MGMリゾーツ・インターナショナルで政府や企業との交渉にあたる部門のアラン・フェルドマン副社長はNHKの取材に対し、「日本に来る観光客が増えるなどさまざまな経済効果が期待できる。大阪は、関西の中心で魅力的な観光スポットがあるなど、多くの可能性があるところだ。日本政府や自治体、企業と一緒に日本らしい施設の設置を実現したい」と述べました。
そのうえでフェルドマン氏は「IRについて誤解している人もいるが、IRはカジノだけでなく、国際会議場、ショッピング施設、レストラン、ホテル、スパなどさまざまな施設の集合体だ。世界中を見ればIRができたからといってギャンブル依存症の人が増えたということはない。また、依存症の人のためのプログラムも十分にある」と述べました。
シンガポールの運営会社「日本市場は投資価値ある」
シンガポールでIR=統合型リゾート施設を経営する「マリーナ・ベイ・サンズ」のジョージ・タナシェビッチ社長は、NHKのインタビューに応え、日本でIR施設を推進する法律が成立したことについて「日本はカジノを含むIR施設が導入されていない世界最大の市場だ。多くの観光客を呼び込むことで世界有数の市場に成長する可能性がある」と述べ、その将来性に期待を示しました。
そのうえで「日本の市場は100億ドル規模の投資価値がある」と述べて日本の市場への参入に強い関心を示しました。また、IR施設に適した場所としては「大都市圏で空港からのアクセスがよく、観光地や大型のホテルが集まっている地域が向いている」として、具体的には東京、横浜、大阪が有望な候補地になると説明しました。
一方、懸念されているギャンブル依存症の問題については、「日本の政府や自治体が協力して規制を設けることで、依存症に陥りやすい人を守ることができる」と述べ、シンガポールの経験などを参考にしながら対策を行えば大きな問題にはならないという考えを示しました。
そのうえで「日本の市場は100億ドル規模の投資価値がある」と述べて日本の市場への参入に強い関心を示しました。また、IR施設に適した場所としては「大都市圏で空港からのアクセスがよく、観光地や大型のホテルが集まっている地域が向いている」として、具体的には東京、横浜、大阪が有望な候補地になると説明しました。
一方、懸念されているギャンブル依存症の問題については、「日本の政府や自治体が協力して規制を設けることで、依存症に陥りやすい人を守ることができる」と述べ、シンガポールの経験などを参考にしながら対策を行えば大きな問題にはならないという考えを示しました。
大阪府 2024年にもIRを開業したい
大阪府や大阪市は、大阪・此花区の人工島、夢洲がIRの特区に指定されれば、速やかに事業者の公募を行い、IRの施設の整備にあたる企業を決めたいとしています。そして大阪府は、万博の開催を目指している2025年の前の年の2024年にもIRを開業したいとしています。
大阪府には、平成24年からこれまでに国内外ののべ20社から、大阪でのIR事業に関心があるなどとして、相談が寄せられているということです。企業の多くは、海外でカジノを運営した実績がある会社や、国内でテーマパークなどの運営を行ってきた会社などだということです。
大阪府には、平成24年からこれまでに国内外ののべ20社から、大阪でのIR事業に関心があるなどとして、相談が寄せられているということです。企業の多くは、海外でカジノを運営した実績がある会社や、国内でテーマパークなどの運営を行ってきた会社などだということです。
大阪 経済効果 開業まで累計1兆4700億円余り
関西経済同友会は、大阪・此花区の夢洲にIRが誘致された場合の経済効果の試算をことし3月に公表しています。
それによりますと、IRの建設や地下鉄の延伸などのインフラ基盤の投資額が合わせて7700億円余りとした場合、IRの開業までの経済効果は累計で1兆4700億円余りに上り、9万3000人余りの雇用を生み出す効果があるとしています。
またIRの開業後は、カジノやホテル、商業施設などの関連で毎年7600億円近い経済効果があるほか、開業後に新たにおよそ9万8000人の雇用を生み出すとしてIRの誘致は大きな経済効果を生み出す「一大事業」だとしています。
それによりますと、IRの建設や地下鉄の延伸などのインフラ基盤の投資額が合わせて7700億円余りとした場合、IRの開業までの経済効果は累計で1兆4700億円余りに上り、9万3000人余りの雇用を生み出す効果があるとしています。
またIRの開業後は、カジノやホテル、商業施設などの関連で毎年7600億円近い経済効果があるほか、開業後に新たにおよそ9万8000人の雇用を生み出すとしてIRの誘致は大きな経済効果を生み出す「一大事業」だとしています。
依存症対策など「実施法案での議論期待」
関西経済同友会の蔭山秀一代表幹事は、NHKの取材に対して、「今回の推進法案を通してもらうことですべてのIR事業に対する議論が始まる。どのような条件で日本でIR事業を解禁するのか、依存症対策や監督指導の仕組みまで含めたすべてのことが、今後の実施法案でしっかり議論されることを期待している」と述べました。
また、「ベースとなるものとして、シンガポールの統合型リゾートをイメージしており、カジノに集客力を依存するのではなく、カジノ以外の事業で集客をし、その人たちにカジノという娯楽施設を提供するという位置づけで議論させていただきたい。ギャンブル依存症対策がいちばん大事であり、シンガポールの成功例を研究して、それを上回る青少年に対する教育や依存症患者に対するカウンセリングをして欲しい」と述べました。
そのうえで蔭山代表幹事は「単発的な事業ではなく、夢洲全体をスマートシティーとして開発する計画があるなかで、10年先20年先の夢洲のあるべき姿をきっちりと描いて開発を行うことが必要で、大阪市にはIR事業を魅力的なものにしてもらいたい」と指摘しました。
また、「ベースとなるものとして、シンガポールの統合型リゾートをイメージしており、カジノに集客力を依存するのではなく、カジノ以外の事業で集客をし、その人たちにカジノという娯楽施設を提供するという位置づけで議論させていただきたい。ギャンブル依存症対策がいちばん大事であり、シンガポールの成功例を研究して、それを上回る青少年に対する教育や依存症患者に対するカウンセリングをして欲しい」と述べました。
そのうえで蔭山代表幹事は「単発的な事業ではなく、夢洲全体をスマートシティーとして開発する計画があるなかで、10年先20年先の夢洲のあるべき姿をきっちりと描いて開発を行うことが必要で、大阪市にはIR事業を魅力的なものにしてもらいたい」と指摘しました。
先行するシンガポールでは
シンガポールは観光客やビジネス客の誘致のほか国際都市としての競争力を保つことを目的に2005年にカジノを合法化しました。
5年後の2010年に国内2か所にIR・統合型リゾート施設が開業し、日本国内にIR施設の誘致を目指す人たちにとってモデルケースの一つとされてきました。
2つの施設のうち、屋上にプールが設置された特徴的な建物で知られる「マリーナ・ベイ・サンズ」は大規模なカジノや大型の国際会議場を完備し、国のランドマークとして観光やビジネスの拠点となってきました。
2つの施設は開業して以降、およそ4万人の雇用を生み出したほか、シンガポール政府は、この5年でおよそ1.5倍に増えた外国人観光客のシンガポール訪問に大きく貢献したとしています。
カジノはこうした施設の中でわずか3%程度の面積ですが全体の70%以上の収益をあげていて、単体での経営が難しい国際会議場などを収入の面で支えています。しかし最近は、中国で景気の減速や政府による汚職対策が進んだことなどを受け中国の富裕層の観光客が減り、カジノの収益は減少傾向にあります。
一方、シンガポール政府は、ギャンブル依存症への対策として自国民が頻繁にカジノに通えないよう日本円でおよそ8000円の入場料を課しているほか、本人や家族から要請があった場合には、カジノに入場させない制度を設けています。また、依存症と診断された人には国や民間のNGOなどがカウンセリングなどを行い、官民を挙げて対策を強化していきました。
こうした対策は一定の歯止めになってきた一方で、依然としてギャンブルにのめりこみ多額の借金を抱える人もいて、課題となっています。
5年後の2010年に国内2か所にIR・統合型リゾート施設が開業し、日本国内にIR施設の誘致を目指す人たちにとってモデルケースの一つとされてきました。
2つの施設のうち、屋上にプールが設置された特徴的な建物で知られる「マリーナ・ベイ・サンズ」は大規模なカジノや大型の国際会議場を完備し、国のランドマークとして観光やビジネスの拠点となってきました。
2つの施設は開業して以降、およそ4万人の雇用を生み出したほか、シンガポール政府は、この5年でおよそ1.5倍に増えた外国人観光客のシンガポール訪問に大きく貢献したとしています。
カジノはこうした施設の中でわずか3%程度の面積ですが全体の70%以上の収益をあげていて、単体での経営が難しい国際会議場などを収入の面で支えています。しかし最近は、中国で景気の減速や政府による汚職対策が進んだことなどを受け中国の富裕層の観光客が減り、カジノの収益は減少傾向にあります。
一方、シンガポール政府は、ギャンブル依存症への対策として自国民が頻繁にカジノに通えないよう日本円でおよそ8000円の入場料を課しているほか、本人や家族から要請があった場合には、カジノに入場させない制度を設けています。また、依存症と診断された人には国や民間のNGOなどがカウンセリングなどを行い、官民を挙げて対策を強化していきました。
こうした対策は一定の歯止めになってきた一方で、依然としてギャンブルにのめりこみ多額の借金を抱える人もいて、課題となっています。