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【社会】

オスプレイ2機事故 「安全」主張は崩壊

沖縄県名護市安部の海岸に近い浅瀬で大破したオスプレイ。空中給油で使うとみられる管状の物が機首の前に突き出ていた=14日午後0時37分

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◆沖縄米軍トップ「感謝されるべきだ」

 米軍新型輸送機オスプレイが沖縄県名護市沖の浅瀬に不時着し大破した事故を受け、在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は十四日、沖縄県北中城村(きたなかぐすくそん)のキャンプ瑞慶覧(ずけらん)で記者会見し、空中給油訓練中のオスプレイのプロペラが給油機の給油ホースに当たり損壊し、事故原因となった可能性があると明らかにした。ホースは切断されたという。

 ニコルソン氏は「沖縄の人々に謝罪する」と表明。早期謝罪には、二十二日の米軍北部訓練場(東村など)の部分返還など重要日程を控え、早期沈静化を図る狙いもあるとみられる。

 ニコルソン氏は別のオスプレイが十三日夜、普天間飛行場で胴体着陸したことも明らかにした。日本政府によると、米軍は「機体脚部に故障が生じた」と説明した。

 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は、二十二日予定の返還式典は県民感情に反するとして政府に中止を求めた上で、上京して十五日に首相官邸と外務、防衛両省に直接抗議すると述べた。オスプレイは北部訓練場の未返還区域で運用予定。

 ニコルソン氏によると、普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)所属のオスプレイは十三日夜、トラブルを起こした。パイロットが浅瀬を目指し、集落を避けて不時着させた。乗組員五人のうち、二人が負傷。一人は骨折したが近く退院、もう一人は一週間程度入院する見込み。

 ニコルソン氏は会見直前、抗議に訪れた安慶田(あげだ)光男副知事に「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」などと述べ、直接の謝罪はなかったという。安慶田氏は「植民地意識丸出しだ」と強く反発している。

◆日本は17機 18年度導入

 開発段階から事故が相次ぎ、安全性に懸念がもたれていた米軍の新型輸送機オスプレイが、日本国内で初の重大事故を起こした。別のオスプレイが胴体着陸していたことも明らかになった。日本政府は海外でのオスプレイ事故を把握しながら、安全性を強調してきたが、日本で二件も続けて事故が起きたことで、主張は崩壊したといえる。

 オスプレイは二〇一二年以降、海外で少なくても五件の事故が報告されている。昨年五月には米・ハワイで海兵隊のオスプレイが訓練中に着陸に失敗して炎上し、搭乗していた隊員二人が死亡した。

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は事故後の記者会見で「今までの飛行時間などの指数でオスプレイは安全だと思っている」と述べ、安全性を強調した。陸上自衛隊は一八年度からオスプレイを十七機順次導入する予定。 (新開浩)

 

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