News Up “死んだあとに離婚” 増えてる理由は?
死後離婚という言葉をご存じでしょうか?。「配偶者の死後、その親族と縁を切りたい」、「夫と同じ墓に入りたくない」。そうした人たちの間で“死後離婚”という言葉が広がり始めています。
そもそも、法律上、夫婦の片方が死亡すれば“離婚する”ということはありません。”死後離婚”は配偶者の死後、その親族との法的な関係を断ったり、配偶者とは別々の墓に入ったりすることを指す造語です。
“亡くなった配偶者の親族との法的な関係を断つ”には「姻族関係終了届」という聞き慣れない書類を役所に提出することになります。この届けは、配偶者が亡くなったあと、いつでも提出できます。配偶者の親族の同意も必要なく一方的に法的な関係を断ち切ることができるものなのです。
法務省の戸籍統計によりますと、平成22年度の「姻族関係終了届」の件数は1911件、それが5年後の平成27年度には2783件に増えています。
では、どんな人たちがこの届けを出すのでしょうか。
“亡くなった配偶者の親族との法的な関係を断つ”には「姻族関係終了届」という聞き慣れない書類を役所に提出することになります。この届けは、配偶者が亡くなったあと、いつでも提出できます。配偶者の親族の同意も必要なく一方的に法的な関係を断ち切ることができるものなのです。
法務省の戸籍統計によりますと、平成22年度の「姻族関係終了届」の件数は1911件、それが5年後の平成27年度には2783件に増えています。
では、どんな人たちがこの届けを出すのでしょうか。
急増 姻族関係終了届
そもそも、法律上、夫婦の片方が死亡すれば“離婚する”ということはありません。”死後離婚”は配偶者の死後、その親族との法的な関係を断ったり、配偶者とは別々の墓に入ったりすることを指す造語です。
“亡くなった配偶者の親族との法的な関係を断つ”には「姻族関係終了届」という聞き慣れない書類を役所に提出することになります。この届けは、配偶者が亡くなったあと、いつでも提出できます。配偶者の親族の同意も必要なく一方的に法的な関係を断ち切ることができるものなのです。
法務省の戸籍統計によりますと、平成22年度の「姻族関係終了届」の件数は1911件、それが5年後の平成27年度には2783件に増えています。
では、どんな人たちがこの届けを出すのでしょうか。
“亡くなった配偶者の親族との法的な関係を断つ”には「姻族関係終了届」という聞き慣れない書類を役所に提出することになります。この届けは、配偶者が亡くなったあと、いつでも提出できます。配偶者の親族の同意も必要なく一方的に法的な関係を断ち切ることができるものなのです。
法務省の戸籍統計によりますと、平成22年度の「姻族関係終了届」の件数は1911件、それが5年後の平成27年度には2783件に増えています。
では、どんな人たちがこの届けを出すのでしょうか。
“浮気をした夫の妻”として生きたくない
関西地方に住む59歳の女性は、夫の死後に「姻族関係終了届」を提出し、「復氏」という、名字を旧姓に戻す手続きも取りました。
女性の夫は、今は成人した一人娘が小学生のころから浮気を繰り返していました。夫は5年前、がんの闘病の末に亡くなりました。亡くなったあと、病院に置いていた荷物を整理していたところ、出てきたのが浮気相手との笑顔の写真。携帯電話には、赤裸々なメールのやり取りまで残っていました。
闘病を支えた女性は、夫への怒りを感じるとともに、“私は妻としてどこがいけなかったのか”とみずからを責めるようになり、心身が不安定になったと言います。そして、夫の死から2年後。“夫の妻として生き続けたくない”と姻族関係終了届を出し、夫の親族との法的なつながりを断ったのです。
女性は「法的な関係が続くことは、夫の生き方を肯定しているように思えて、とても苦痛でした。夫の戸籍に自分の名前が並んでいたことも耐えられませんでした。今やっと自分自身の人生を歩んでいるという気がします」と話していました。
女性の夫は、今は成人した一人娘が小学生のころから浮気を繰り返していました。夫は5年前、がんの闘病の末に亡くなりました。亡くなったあと、病院に置いていた荷物を整理していたところ、出てきたのが浮気相手との笑顔の写真。携帯電話には、赤裸々なメールのやり取りまで残っていました。
闘病を支えた女性は、夫への怒りを感じるとともに、“私は妻としてどこがいけなかったのか”とみずからを責めるようになり、心身が不安定になったと言います。そして、夫の死から2年後。“夫の妻として生き続けたくない”と姻族関係終了届を出し、夫の親族との法的なつながりを断ったのです。
女性は「法的な関係が続くことは、夫の生き方を肯定しているように思えて、とても苦痛でした。夫の戸籍に自分の名前が並んでいたことも耐えられませんでした。今やっと自分自身の人生を歩んでいるという気がします」と話していました。
専門家の分析は?
配偶者の親族への“絶縁状”とも言える姻族関係終了届。その件数の増加について、家族社会学が専門で東洋大学の元教授の井上治代さんは次のように分析しています。
「届けを出すのはほとんどが女性だと思う。長い結婚生活の中で、積もった夫やしゅうとめへの不満。夫の死後、夫の親の介護も、妻である自分にまかされるのではないかという不安。そうした不満や不安が親族としての関係を断つという選択肢につながっているのではないか」。
また、井上さんは、配偶者の死後、別の墓に入ることも”死後離婚”だと言います。婚姻関係終了届を出さないまでも生きている時の配偶者やその親への不満から”同じ墓に入りたくない”と考えるケースが多いからです。
そして、最近は大きな不満がなくても別の墓に入る”死後離婚”が増えてきたと言います。生きている間は”夫の妻”、しかし、死んだあとは”自分自身”という選択です。
「届けを出すのはほとんどが女性だと思う。長い結婚生活の中で、積もった夫やしゅうとめへの不満。夫の死後、夫の親の介護も、妻である自分にまかされるのではないかという不安。そうした不満や不安が親族としての関係を断つという選択肢につながっているのではないか」。
また、井上さんは、配偶者の死後、別の墓に入ることも”死後離婚”だと言います。婚姻関係終了届を出さないまでも生きている時の配偶者やその親への不満から”同じ墓に入りたくない”と考えるケースが多いからです。
そして、最近は大きな不満がなくても別の墓に入る”死後離婚”が増えてきたと言います。生きている間は”夫の妻”、しかし、死んだあとは”自分自身”という選択です。
“最後くらいは自由に”
関東地方に住む71歳の女性は、ことし8月に自分の墓を購入しました。
夫との仲は良好で、結婚して45年がたちました。夫につくし夫の両親の介護とみとりも経験してきました。女性は結婚してからの人生を振り返り、”自分自身の人生というより、夫の妻としての人生だった”と言って次のように話していました。
夫との仲は良好で、結婚して45年がたちました。夫につくし夫の両親の介護とみとりも経験してきました。女性は結婚してからの人生を振り返り、”自分自身の人生というより、夫の妻としての人生だった”と言って次のように話していました。
「結婚したあとの生活は、妻としての務めの連続でした。70代になり“死”を意識するようになるとせめて死んだあとのことは、自分の好きなようにさせてもらいたいと思ったのです。夫も私の考えに理解を示してくれました」。
女性は、子どもたちに迷惑をかけないため代々続く夫側の墓は夫の死後、「永代供養」してもらう手続きを取りました。
子ども2人には自分の墓に入ってもらおうと考えています。
女性は、子どもたちに迷惑をかけないため代々続く夫側の墓は夫の死後、「永代供養」してもらう手続きを取りました。
子ども2人には自分の墓に入ってもらおうと考えています。
相続は?子どもとの関係は?
ところで、姻族関係終了届を提出した場合、相続や扶養義務はどうなるのでしょうか。
離婚や家族間のトラブルに詳しい岡渕貴幸弁護士に話を聞きました。
まず、相続ですが、例えば夫が亡くなったあと、姻族関係終了届を出しても、夫の親族との姻族関係がなくなるだけで、夫の相続人であることに代わりはありません。このため、夫からの相続はできますし、遺族年金も受け取ることができるということです。
また、民法では、一般的に妻には“夫の両親や兄弟”の扶養義務はありません。
それでも姻族関係終了届を出すことについて、岡渕弁護士は「親族との関係を断ち切ってすっきりした気持ちで第2の人生を歩みたいという気持ちの面が大きいのでは」と話しています。
そして、自分の子どもと亡くなった夫の両親、子どもから言えば祖父母との関係です。妻が姻族関係終了届を出しても、子どもと祖父母の法的な関係は残ります。つまり、子どもには祖父母から相続を受ける権利は残るということです。
離婚や家族間のトラブルに詳しい岡渕貴幸弁護士に話を聞きました。
まず、相続ですが、例えば夫が亡くなったあと、姻族関係終了届を出しても、夫の親族との姻族関係がなくなるだけで、夫の相続人であることに代わりはありません。このため、夫からの相続はできますし、遺族年金も受け取ることができるということです。
また、民法では、一般的に妻には“夫の両親や兄弟”の扶養義務はありません。
それでも姻族関係終了届を出すことについて、岡渕弁護士は「親族との関係を断ち切ってすっきりした気持ちで第2の人生を歩みたいという気持ちの面が大きいのでは」と話しています。
そして、自分の子どもと亡くなった夫の両親、子どもから言えば祖父母との関係です。妻が姻族関係終了届を出しても、子どもと祖父母の法的な関係は残ります。つまり、子どもには祖父母から相続を受ける権利は残るということです。
提出すると元には戻れません!
配偶者が亡くなり、「姻族関係終了届」を書いて役所に提出すると配偶者の親族との法的な関係はなくなります。
ただ「離婚」したあと、同じ相手と再婚する「復縁」のようにはいきません。いったん、届けを出して関係を断ち切れば、法的な関係を取り戻すことはできません。子どもがいる場合は、子どもと祖父母の関係にも影響することが考えられます。
1通の届け出は自分だけでなく子どもの人生にも関わってくることがあります。さまざまなことに考えを巡らせたうえでの決断になる姻族関係終了届。その増加は、女性の意識が大きく変わってきたことを示すもののひとつと言えそうです。
ただ「離婚」したあと、同じ相手と再婚する「復縁」のようにはいきません。いったん、届けを出して関係を断ち切れば、法的な関係を取り戻すことはできません。子どもがいる場合は、子どもと祖父母の関係にも影響することが考えられます。
1通の届け出は自分だけでなく子どもの人生にも関わってくることがあります。さまざまなことに考えを巡らせたうえでの決断になる姻族関係終了届。その増加は、女性の意識が大きく変わってきたことを示すもののひとつと言えそうです。