国政介入:朴大統領の美容施術追及に終始、空転した聴聞会

「セウォル号当日の大統領府の対応」究明のはずが…証人13人のうち9人は医療陣
質問のほとんどは「その時間に美容施術を受けていたのか」

 韓国国会で14日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件をめぐる国政調査の3回目の聴聞会が行われた。この日の聴聞会は、2014年のセウォル号沈没事件当日の「空白の7時間」に朴大統領がどのような対応を取ったのかを究明するのが目的だった。しかし、この日明らかになったのは「大統領は当時、青瓦台(大統領府)の中にいたが、美容整形や医療施術を受けたと考えるのは難しい」という見解だけだった。大統領がなぜ事故の報告を受けた直後に災害対策本部に向かわなかったのか、なぜ積極的に対応しなかったのか、といった問題の本質には全く迫ることができなかった。これは聴聞委員らが聴聞会の時間のほとんどを使って「朴大統領は美容整形あるいは違法な医療施術を受けていたのではないか」との疑惑を集中的に追及したからだ。

 最大野党「共に民主党」の都鍾煥(ト・ジョンファン)委員は聴聞会の初めに「『セウォル号の空白の7時間』をめぐる疑惑の中心にあるのは、朴大統領と崔順実被告の医療コネクションだ」と指摘した。ほかの野党議員も似たような観点から質問した。このため、この日の聴聞会に呼ばれた証人も13人のうち9人が医療陣だった。与野党議員は「事故当日に青瓦台に出入りしたか」「大統領に美容施術や注射などをしたのか」といった質問を繰り返し、証人らは「青瓦台に入ったことはない」「施術や処置をしたことはない」と答えるばかりだった。

 聴聞会を見守っていた医師たちは「これまでに名前の挙がった大統領周辺の医師の中には、美容整形施術をするような人物がいない」として、空白の7時間に朴大統領が美容整形施術を受けた可能性について否定的な見方を示した。また「全身麻酔によって意識のない状態だった」との疑惑についても「そのような手術を、医療施設のない官邸で行うのは難しく、外部から『陰の医療陣』を招いたとしても、大がかりな設備が必要なため気づかれたはずだ」と指摘した。一方、美容目的で「フィラー」や「ボトックス」を注射した場合は睡眠麻酔が必要なく、施術も10分程度で終わるため、痕跡を長時間隠す必要もない。

 結局この日の聴聞会は、大統領の当日の事故対応姿勢を追及するのではなく「美容施術を受けたのか」「麻酔をかけられた状態だったのか」という誤った方向に進んでしまい、無駄に終わった。仁荷大のホン・ドゥクピョ名誉教授は「今回の聴聞会は、大統領に恥をかかせ、国民の怒りを刺激することに重きを置くなど、聴聞会の本来の趣旨から外れていた。今からでも、今回の問題が災害対応体系のずさんさや国の危機管理体系のまひなど国のシステムの問題だということを認識し、アプローチすべきだ」と指摘した。与党議員は「野党と一部の勢力がありもしない疑惑を作った」と反発し、野党は「朴大統領は自らセウォル号事故当日の行動を詳しく明らかにすべき」と主張した。

金哲中(キム・チョルジュン)医学専門記者 , イ・オクチン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース