沖縄県名護市安部の海岸に不時着し大破したオスプレイ=2016年12月14日午前7時3分、本社機「希望」から
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の垂直離着陸輸送機オスプレイ1機が同県本島東沖に不時着した事故を受け、ケネディ駐日米大使は14日午前、岸田文雄外相に、国内でのオスプレイの運用を当面、停止すると伝えた。政府は引き続き米側に事故の原因究明と説明を求めていく方針だ。
岸田氏とケネディ氏は約15分間、電話で協議。岸田氏が「安全が確認されるまでの飛行停止」を求めたのに対し、ケネディ氏は「米軍と協議した結果、一時的に停止することにした。飛行再開は日本政府と緊密な調整を行った上で行う」と応じた。
防衛省に対する米側の説明によると、事故機は周辺海域で空中給油訓練中だった。空中給油機と事故機をつなぐ給油ホースが切れ、事故機にトラブルが生じ、飛行困難に陥った。操縦士は住宅に囲まれた普天間ではなくキャンプ・シュワブに向け飛行中に着水した。
安倍晋三首相は首相官邸で記者団に「オスプレイが重大な事故を起こしたことは大変遺憾だ」と表明。「飛行の安全確保が大前提だ」と指摘し、米側に原因究明と安全の確保について強く要請していく考えを強調した。
菅義偉官房長官も記者会見で「地元の皆様に大きな不安を与えるものであり極めて遺憾だ」と語った。
稲田朋美防衛相は同日未明と午前の2回、在日米軍のマルティネス司令官に電話で事故原因の究明などを求めた。
防衛省によると、13日午後9時半ごろに航空自衛隊那覇基地が米軍からの救難信号を受信し、航空機2機が捜索活動を行った。第11管区海上保安本部は14日午前1時45分ごろ、同県名護市安部付近の岸から約80メートルの浅瀬上で不時着したオスプレイを発見。発見場所は政府が普天間飛行場の移設先としている名護市辺野古から北東に数キロの距離だった。
オスプレイは開発段階から墜落などの事故が相次いでおり、沖縄県では配備に反対する県民の反発が強まるのは必至だ。県は、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関し、移設先となる米軍キャンプ・シュワブで陸上施設の工事の一部を今週中にも再開する政府方針を了承していたが、県側が態度を硬化させる可能性もある。【村尾哲、影山哲也】