Ferenc Fricsay
Deutsche Grammophon
2014-09-02
指揮者シリーズ。フェレンツ・フリッチャイ。
クラオタでもこの指揮者の名前を知っているのはなかなかの通だろう。
グィド・カンテッリ並みに。
だから公式にネットに上がってる動画も音源もない。
戦後ベルリンに颯爽と登場し、その風貌から「フルトヴェングラー二世」とも言われ、大手レコード会社グラモフォンが注目し、一時はカラヤン以上に録音をこなした指揮者だ。
しかし白血病に倒れ、48歳で夭折した。
昨日彼のリハーサル映像を観ていた。「モルダウ」。
何度も手術を重ね、そして戻ってきた、晩年の映像だ。
本当に細かい。少しやっては止め、やっては止め、演奏が遅々と進まない。
パートを抜き出して練習させたりもする。これオケは嫌がるんだよね。
でも各楽器を理解し、良く聴き取り、解るまで説明する。
ここまでしつこい指示は彼のような「若手」だと嫌われる。でも、彼は情熱的にオケに語り続ける。
そして彼は最後の方、こう呟くのだ。
「そう、生きることは本当に素晴らしい」
この番組のMCも言っているが、もう自分の余命を覚悟した上で、指揮台に立ち続けていたのだということが良く解る瞬間だ。
とても感動的だ。
こういう、死ぬ直前まで命がけの表現をしたいね。
死ぬ直前まで仕事があるか知らないけど。
ちなみにその後観たカール・ベームのリハーサルがまた細かい!
ウィーン・フィルを子ども扱いで振り回す。
「指揮を止めたらすぐ演奏を止めろ!」
表現者に遠慮は禁物だね。