「人間性が良くなければ芸術・芸能は楽しめない!」とかぬかしてたら世の芸術家の9割以上は死滅するはずだが、そもそもこの国に芸術・アートが根付くはずもないか。古来から。

つくづく文化を理解しない国。
北野武もフランスで最高勲章をもらった際、「日本は何もくれない」とボヤくわな。


今日の指揮者シリーズはその中でも奇人中の奇人、クレンペラー。
何と言ってもアメリカ時代、「クレンペラー警報」が出たくらいなのだ。もはや犯罪者扱い。

そもそも躁鬱病を患ってたというから、完璧なメンヘラである。
それに加えて色情狂。警察に逮捕され、精神病院に放り込まれたこともある。

エピソードの数々がまたアレで、ヒンデミットの講演会の質疑応答に手を挙げて「トイレはどこだ?」と叫んでみたり、寝タバコで大やけどを負ったり、カラヤンがオペラを指揮している時に客席から「みんなが言うほど悪くないぞ!」と怒鳴ってみたり、ベッドに一緒に寝ていた見知らぬ女を実娘に紹介したり、もう、あるところからはネタでやってるんじゃないのか?と勘繰るくらい。

当時のインタビューやリハーサル映像も残っているが、まぁ酷い。喋れば悪口、タクトをとれば怒号、本当にネタじゃないかと思うくらい、キャラが立ち過ぎている。


「警報」まで出されたアメリカを追われ、行き着いた先はイギリス。
しかし人生何が起こるか解らない。ここで彼はフィルハーモニア管弦楽団と相思相愛となり、EMIで大量の録音を残し、「巨匠」として生涯を終えるのだ。

そう言えば喧嘩につぐ喧嘩で祖国ドイツを追い出されたテンシュテットも、やはりイギリスで囲われ、大絶賛された。
イギリスはやはりロックな国なのだなぁ・・・。


こんな人間、面白いじゃないか。
「面白い」人間が「面白い」文化・芸術を作り上げる。当たり前だと思うんだけどなぁ。

今って本当に「面白さ」と「正しさ(これも本来こう言うべきではないんだけど)」が強迫観念的にすり替えられている気がする。
いや、それでみんな満足ならいいんだけど、それって、面白いの??


そう考えつつ、また生うどんの動画観て寝ます。