米軍オスプレイ不時着 「パイロットが判断迫られた」

米軍オスプレイ不時着 「パイロットが判断迫られた」
k10010806271_201612141231_201612141232.mp4
13日夜、沖縄本島の東の海上で、アメリカ軍の輸送機オスプレイが不時着し大きく壊れた事故で、アメリカ軍は防衛省に対し、「現場付近の上空で何らかのトラブルが発生し、パイロットが基地に戻るか海上に不時着するか判断を迫られた」と説明しているといことです。防衛省は引き続き、当時の詳しい状況の確認を進めています。
13日午後9時半ごろ、沖縄県名護市の東およそ1キロの海上で、アメリカ軍の輸送機オスプレイ1機が不時着し、乗っていたアメリカ兵5人が全員救助され、このうち2人がけがをしました。

機体は、胴体や翼が折れるなど大きく壊れていて、前方と垂直方向に向きを変えられるプロペラの一部と見られる部品も大破しています。
事故機は沖縄県宜野湾市にあるアメリカ軍普天間基地の所属で、防衛省によりますと、アメリカ軍は「現場付近の上空で何らかのトラブルが発生し、パイロットが普天間基地に戻るか、海上に不時着するか迫られ、海上への不時着が安全だと判断し、コントロールしながら降下した」と説明しているということです。

オスプレイは、国内では4年前の平成24年10月に、アメリカ軍普天間基地に配備され、現在24機が運用されていて、機体が損傷する事故は今回が初めてです。

防衛省は引き続き、アメリカ軍に連絡をとって、当時の詳しい状況について確認を進めています。

岸田外相「大変遺憾だ」

岸田外務大臣は外務省で記者団に対し、「大変遺憾だ。アメリカ側には原因の究明、情報の提供とあわせて、安全が確認されるまでオスプレイの飛行停止を求めており、このあと、私からもケネディ駐日大使に申し入れを行う予定にしている。米軍機の飛行は安全性が最大限確保されることが当然であり、沖縄県民の皆様にも、情報提供を受け、丁寧に説明させていただかなければならない」と述べました。

沖縄 翁長知事「強く県民の気持ち申し上げる」

沖縄県の翁長知事は14日午前、記者団に対し「本当にとんでもない出来事だ。このあと沖縄防衛局長と沖縄担当大使を呼んでいるので、強く県民の気持ちを申し上げたい」と述べ、政府に対し抗議する考えを示しました。

不時着したオスプレイが所属する、アメリカ軍普天間基地がある沖縄県宜野湾市の佐喜真淳市長は「いちばん懸念していたことが起きてしまった。安全が確認できるまでは絶対にオスプレイの飛行は停止していただきたい。こういうことが万が一、普天間基地の周辺で起きたら大惨事になりかねない。アメリカ軍や沖縄防衛局に抗議したい」と述べました。そのうえで「普天間基地の1日も早い返還と危険性の除去、それに基地負担の軽減を政府としてしっかり取り組んでいただきたい」と述べました。

沖縄県名護市の稲嶺進市長は14日朝、アメリカ軍の輸送機オスプレイが不時着した現場近くの海岸を訪れ、視察しました。
稲嶺市長はNHKの取材に対し、「ずっとオスプレイの配備に反対していたが、心配が現実のものになってしまった。集落の上に落ちても不思議ではない距離で、これからも起こらないとは限らず、安心して生活できない」と述べました。

地元の住民は

アメリカ軍の輸送機オスプレイが不時着した現場の浅瀬の近くにある名護市安部地区の住民からは、不安の声が聞かれました。
13日夜、自宅の上をヘリコプターが飛ぶような音を聞いたという女性は「二度と訓練をして欲しくない。こんなことをされたら生活ができなくなる」と話していました。
また、別の男性は「現場は本来だったら定置網を設置しているところで、そこに落ちたらどうなっていたかと思う。なぜ小さな島でこんなことをするのか。新しい基地は作ってはいけないと思う」と話していました。