真珠湾攻撃から75年、歴史家・加藤陽子氏は語る「太平洋戦争を回避する選択肢はたくさんあった」


面白い言説だ。日米開戦直前まで、日本は「空気を読む」民族であるため、かえって和平のための幾多ものチャンスを逃してしまったのだという、そういう民俗学的視点が、今までの戦争観を変えるかも知れない。

「軍部の暴走によって日本はおかしくなった」と言われている戦争史観も、実はそれほどではなく、政府・軍部共に迷いに迷って、舵取りに難儀する内にそのバックから反米の世論やマスコミに突き動かされ、最後には「思い込み」や「勘違い」で、やむなく開戦してしまうという、そのプロセスが実にリアルだと思った。
今の日本と寸分たがわないのだ。

先の戦争は間違いなく、今の日本人と変わらぬ、地続きの同じ民族が引き起こしたものだと、肌で実感した。
『この世界の片隅に』が描いたテーマと奇しくも一致する。

少なくとも、単一民族であるからこそ育み、そして足枷となってきた、「空気を読め」という考え方は、そろそろ捨てるべき発想ではなかろうか?
学校のイジメから戦争にいたるまで、全部この発想が元凶だからだ。

思ったことをはっきり言い、言葉を尽くして議論する。今後の日本が世界の激変の中生きながらえるためには、そのような歴史的な意識改革が必要だと思う。