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日産「ノート」が急にバカ売れし始めた理由

東洋経済オンライン 12/14(水) 5:00配信

■日産自動車「ノート」が1位を獲得

 日本自動車販売協会連合会が発表した11月の新車乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)で、日産自動車のコンパクトカー「ノート」が前年同月比2.4倍の1万5784台を販売し、初の1位を獲得した。今年に入ってから首位を守り続けていたトヨタ自動車の「プリウス」も同2.2倍の1万3333台と好調だったが、ノートはさらにそれを上回った。

【図表あり】ノートe-POWERのメカニズムとは?

 このニュースは、特に自動車業界関係者の間で驚きを持って受け止められている。日産車が登録車として月間トップを獲得したのが「サニー」以来、実に30年ぶりだったからだ。

サニーといえば、12年前の2004年に日本市場から消滅した4ドアセダンを中心とする大衆車ブランド。かつては日産を代表するクルマとして、トヨタの看板車種である「カローラ」とベストセラー争いを繰り広げたことは、「『カローラ』と『サニー』何が明暗を分けたのか」(8月24日配信)でも取り上げたことがあるが、それ以来の快挙なのである。 言わずもがなトヨタの国内乗用車販売は圧倒的な強さを誇る。カローラは1969年から33年にもわたってトップに君臨。近年はプリウス、アクアといったハイブリッド車(HV)を売りまくり、他の追随を寄せ付けていない。この30年間でトヨタにまともに土をつけたことがある乗用車は、ホンダのコンパクトカー「フィット」ぐらいで日産は長らく月間トップすら奪取できなかった。

ベストセラーの原動力になった理由とは?

 ノートは11月2日にマイナーチェンジを実施し、同時に新開発のパワーユニット「e-POWER」 を導入した。その結果、発売後約3週間を経過した11月23日には、月間販売目標の2倍となる2万台の受注を獲得。グレード別の内訳を見ると、e-POWER搭載車だけで78%を占めている。新しいパワーユニットがベストセラーの原動力になった。

■これまで売れ筋のコンパクトカーセグメントに

 ノートe-POWERは、従来のノートと基本的に同じ1.2L直列3気筒エンジンに、電気モーターを組み合わせている。ただしエンジンは走行には使用せず、発電機を回すことに徹しており、前席下に収めたリチウムイオンバッテリーに貯蔵し、この電力で走る。後席や荷室まわりはガソリン車のノートと共通なので、広さや使いやすさはそのままだ。

 「電気自動車のまったく新しいカタチ」と日産では呼んでいるこのメカニズム、日本で販売される乗用車では初めてだが、バスでは実用例があり、JR東日本が走らせているハイブリッドトレインも同様の方式を用いる。

 日本ではエンジンを発電のみに使用するこの方式を、「シリーズ式ハイブリッド」と呼ぶことが多い。HVは、2つの動力源を持つ車を指し、その一種であるが、エンジン、モーターを状況に応じて駆動力に使う「パラレル式ハイブリッド」とは異なる。ちなみにプリウスをはじめとするトヨタ車のほか、ホンダのフィットなどのHVが採用しているのがパラレル式である。

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最終更新:12/14(水) 10:05

東洋経済オンライン

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