2016年12月14日05時30分
■第1章:一時保護(2)
「赤ちゃんが家に放置されているかもしれない。どうしたらいいでしょうか」
午後5時すぎ、児童相談所(児相)の管轄エリア内の市の担当者から電話が入った。保育園児と0歳児を抱える家庭でネグレクト(育児放棄)が疑われるという。
いきさつはこうだ。姉が保育園で発熱し、母親に電話したが、連絡がつかない。仕事中の父親に連絡すると、「妹の具合が悪かったので家にいるはず」と言った。
半年ほど前、姉にあざが見つかり、母親が拳で殴ったことなどを認めたことがある家庭だった。保育園から連絡を受けた市が保健師を自宅に向かわせたが、母親は不在だった。以前にも赤ちゃんを置いて母親がパチンコに行っていたことがあったという。
赤ちゃんの放置は命にかかわる。現場は神経質にならざるを得ない。この家は児相から車で1時間弱。迷っている暇はない。「とにかく行って。本当に放置されているのなら危険だから、保護して」と指示が飛んだ。
虐待対応チームのワーカーの多くは出払っていたが、児相にいたワーカー(児童福祉司)で40代のミエコ(仮名)が手をあげた。ワーカーで係長のタカオ(仮名)には出先から転戦してもらうように連絡し、ミエコは他の職員とともに車で急いだ。
午後7時前に現地に着くと、先…
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