国土交通省や厚生労働省などは13日、2014年度に認知症患者が絡んだ鉄道事故の検証結果をまとめた。認知症患者が関連した鉄道事故やトラブルは29件で、鉄道事業者の損害額は最大で約120万円だった。
国交省によると、損害額の内容(複数回答)は、事故やトラブルに伴い乗客の誘導などを職員が臨時で行ったことによる「人件費」が最も多く14件、次いで「代替交通機関による輸送費」が8件だった。今回の検証結果では、損害額が高額となる鉄道事故は多発していなかった。
過去には、徘徊(はいかい)中に電車にはねられ死亡した認知症の男性の家族に対し、JR東海が720万円の損害賠償を求めた訴訟があり、最高裁は今年3月に家族の責任を認めない判決を出している。
国交省や厚労省などは、今後もこうした事故が起きる可能性があるとして、地域住民らによる見守り体制を整備し、事故を未然に防ぐ取り組みを強化する方針だ。