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NAVERまとめがサービスを見直すべき3つの理由

NAVERまとめについて、削除依頼をだしてモヤモヤしたことを記事として書きました。

更新日: 2016年12月13日

kawauso333さん

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広田と申します。アスキー系の雑誌編集者、ウェブの編集記者、フリーランスのライター・カメラマン、自社サイト(PANORA)の編集長・VRジャーナリストとして15年以上、出版・ウェブ業界にいます。そしてASCII.jpに書いた自分の記事を元に引用の要件を満たさない記事をNAVERまとめに作成されていることで、ここ3、4年ぐらいずっと怒っています。

あまりに腹が立った案件で2014年に一度、削除依頼を出したのですが、NAVERとしては権利の侵害を認めていないので書面で返せという対応をされました。正直あきれました。でも仕事に忙殺されて結局、書面で出せなかった。絶対に許さないというモヤモヤした思いしか残らなかった。

2014年に削除依頼をだした記事はこちら。

その元記事はこちら。

削除依頼でやりとりしたメールの書面がこちら。

過去のつぶやき

Naverまとめって権利侵害があった時にどこが責任取るんだろ。とても引用の範疇に思えないひとつの記事の抜粋がメインの記事もあったりするけど

ついでにいうとNAVERまとめの、単記事を中心にいいとこだけ抜粋してオマケ程度に他の話を付け足してまとめを立てるのも酷い剽窃だと思う

何の情報も付け足さないで単に抜粋するだけのまとめ記事やめてほしいなぁ……      バーチャル旅行&疑似体験が楽しめる「オキュ旅」とVRヘッドセット「Oculus Rift」が凄い - NAVER まとめ matome.naver.jp/odai/213920441…

書面かー。さらに本人確認の書類も必要。これはやったもん勝ちだろ。NAVERまとめがダメって訳じゃなくて、なんか気分の問題なんだよね。上手いこと抽出して出す学生のレポートかよ

2012年に一応インセンティブに手を入れてるけど、全然現状に反映されてないじゃん    NAVERまとめ“丸ごと転載”はNG、権利侵害でインセンティブ対象外に -INTERNET Watch internet.watch.impress.co.jp/docs/news/2012… via @internet_watch

そう思っていたら、2016年に入ってもまだ削除しにくい対応が続いていたんですね。

この辺でいったんサービスを止めて、NAVERまとめのあり方を見直すべきなんじゃないでしょうか。死ぬほど長いですが、筆者が感じている問題点を指摘します。

●問題1:引用ではない

NAVERまとめにも便利な記事もあります。例えば、何かのジャンルのリンク集とか、Googleや専門サイトで検索してもなかなか思っている結果が出て来ない。じゃあ、NAVERまとめを使って、これとこれとこれがまとまってたら便利だよね。あとなぜそのリンクを選んだのかオススメのコメントが載っていたらさらにわかりやすいよね──というのが、ひとつの好例じゃないでしょうか。

翻って、先のパクリまとめ記事は、筆者(広田)が書いた記事以上の内容が入っているでしょうか? 元記事読んでリンクをたどれば全部入ってる話を、あえて複数のサイトからちょっとずつ記事を剽窃してくっつけることで、一見いろいろなソースの話をまとめているように見せかけている。元記事以上の価値を生み出せていないのに、なぜそれが引用と認められると思った?

この問題点の根底には、グーグルのSEOがあります。すんごくざっくりいうと、テレビやネットで瞬間的に話題になったものを、とりあえず調べてキーワードをちりばめてそれっぽくまとめあげることでSEOの上位を取り、ユーザーを流入させてアクセスを増やして広告のインプレッションを増やしてビジネスにつなげる、みたいな。特に芸能人の名前で検索したときのSEO汚染はひどい。このパターンの小銭稼ぎは、それこそ2000年台前半のブログからよく見かけました。

そんな昔は個人の「ネットで稼ぐ!」みたいな方々がやっていたようなことを、じゃあユーザーに自由に参加してもらって、文章すら書かずに引用の塊だけで記事作成を楽にして、アクセスを束ねたらもっと儲かるじゃん!みたいな。そういう記事の作り方って、クレームを出した2014年からさすがに変わって、もうやめているのかと思ったら今でも全然やってますね。

でも普通に考えて、例えば、筆者がアスキーやITmediaやImpress Watchといった他媒体の記事をちょっとずつ抜粋して、NAVERまとめのような剽窃記事をつくって、自分のサイトに公開したら普通に抗議が来ますよね? 「いや、まとめですから」「ユーザーがやったことですから」って、それで著作者が納得すると思ってる?

国内のキュレーションサイトの記事を自動で取得して、ユーザー投票やアクセス数でランキング付けする「ダメキュレーションまとめ」みたいなサービスを御社に話を通さずつくったら、どう思いますか? 普通に潰しに来るでしょ?

まず他人の記事と論旨が同じで、ここまでがっつり使うなら、事前に許諾を取るべきです。ユーザーに必ずコンタクトを取らせるようにするのが面倒? 当たり前でしょう。なぜ著作者側が逆にコンタクトを取るコストを負担しなきゃいけないの?

●問題2:インセンティブの支払いがおかしい

筆者(広田)個人に関していえば、お金の問題で解決できます。

先のASCII.jpに載せた記事はVRコンテンツに関して沖縄で面白い実験をやるとの話をいただいて、自腹で取材に同行したものです。そもそもの話、取材の話をいただける人脈を築くことにも何本かの記事を書いていてコストがかかっています。

このときはASCII.jpに4本の記事を寄稿して、ぶっちゃけ書く前から赤字だったのですが、面白いことをやろうとしている人が目の前にいて、それが世の中に重要と思うのなら、身銭を切ってでも伝えようとするのがジャーナリストの職業倫理じゃないでしょうか(意見は分かれそうですが)。そしてこの時の取材が今のVR・パノラマ専門のウェブサイト「PANORA」につながっています。

そんな身銭を切って、しかも3日間別の仕事が受けられない状態でつくった記事の第1弾なのに、マウスカーソルをちゃちゃっと動かして、コピペだけでマッハでまとめ記事ができてしまう。すごい! 情報革命だ! お前らがお気軽にインセンティブで小銭稼ぐために書いた記事じゃねーんだよ!

YouTubeやniconicoもユーザーに対してインセンティブを出しています。すべてのケースに当てはまるとは思っていませんが、それでも多くはユーザーを楽しませる新しいものを作ろうとしている人たちの原資になっている。そしてリアルイベントもやったりして、新しい世代のクリエイターを後押ししている。

「パクりはユーザーがやったことですから!」と全責任を押し付けられるほど、NAVERまとめはインセンティブの仕組みに手を入れて、新しいものを生み出そうとする人をバックアップして正の循環を築こうとしていますか? NAVERまとめから、本職の記者になった、編集者になったという人はどれだけいるでしょうか?(実は意外と多かったりしたら、それは筆者が無知なだけなので申し訳ありません)

この前発表された「1次情報発信者の権利保護」はいい施作だと思います。でもこれってもっと前からやっておくべきことですよね? あと遡って適用されないですよね? よしんば遡って適用されたとしても、多分、ASCII.jpからライターには二次利用料は支払われないんだろうなぁ(これは別の問題ですけど)。

●問題3:権利者削除がめちゃくちゃ面倒臭い

自分の収入にもつながらないのに、自分の著作物で勝手にビジネスされてたら、そりゃ削除依頼出すでしょ。じゃあ依頼を受けるから書面で返せって……。消す気がまったくないし、権利者の侵害がさまざまなところで起こってクレームが来てるのに、そのフローを手軽にするつもりすらないでしょ。

筆者もかつて、niconicoに投稿した取材動画を丸パクリしてYouTubeに投稿された際には、削除依頼を出して消してもらえました。このときもオンラインだけで済みました。

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kawauso333さん