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ライチョウの捜索、困難に 大町山岳博物館

ニホンライチョウを捜索する市立大町山岳博物館の関係者=大町市で

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 大町市の市立大町山岳博物館の飼育舎から十日に逃げた、国の特別天然記念物ニホンライチョウ一羽が見つからない。同館は、市職員らの協力を得て十二日までの三日間で延べ約二百五十人で捜索したが、発見には至らなかった。既に飼育舎から数キロ程度離れた所に移動している可能性もあり、関係者は焦りの色を濃くしている。

 「日にちがたてばたつほど、見つけるのは難しくなる」。博物館の担当者は深刻な表情で語った。

 ニホンライチョウが逃げ出したのは十日午前。飼育舎から雄と雌の二羽が、偶然に開いた排気用の窓から野外に出た。雄は同日に近くのやぶの中で見つかったが、雌は行方が分からないままだ。

 捜索は同館職員や市職員らで行った。十一日は約百十人で、飼育舎の周辺の山中など半径約三キロを中心に探し、十二日は十八人が三人ずつ六台の車に乗り、南北約十一キロ、東西約五キロの範囲で捜索したが成果はなかった。

 捜索の焦点は、山と平野部との境目の見通しの良い斜面。捜索に関わる中村浩志国際鳥類研究所(長野市)の中村浩志代表理事は「ライチョウは本来、開けた場所に生息し、林など木が多い所は好まない」と話す。

 ただ、野外に逃げた一羽のライチョウを人海戦術で探し出すことは、ただでさえ困難。加えて今の時期は、逃げた雌のような若鳥が長距離を飛ぶ習性があり「既に捜索の範囲の外に飛んでいった可能性もある」(中村代表理事)。キツネや野良猫などの天敵に捕食されたり、餌を食べられず飢え死にしたりする危険もある。

 博物館は十六日まで十八人態勢での捜索を続け、見つからなければ捜索を続けるか、打ち切るかなどの対応を決める。

 ニホンライチョウの人工飼育は環境省の保護増殖事業で、逃げた雌は博物館が育てる四羽のうちの一羽。鳥羽章人館長は十二日、東京の環境省を訪れ、ライチョウが逃げた経緯を説明し謝罪した。

 博物館は、逃げたライチョウに関する情報を求めている。(問)市立大町山岳博物館=0261(22)0211

 (林啓太)

 

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