ベネズエラ、最高額紙幣を72時間以内に撤廃 密輸対策などで
- 2016年12月12日
南米ベネズエラの政府は11日、72時間以内に最高額紙幣の100ボリバルを撤廃し、コインに転換すると発表した。密輸を防止し、食料品など生活必需品の不足に対応するためだという。
ニコラス・マドゥロ大統領は、国境近くで活動する犯罪組織が紙幣を国内に持ち込む前に、紙幣を無効にできると述べた。
経済危機からの脱却を図る政府が、また一つ絶望的な試みをしていると批判する声も出ている。
野党指導者のエンリケ・カプリレス氏はツイッターで、「圧倒的に愚劣だ! 我々がさまざまな問題を抱えているなかで、12月にこんなことをしようなど、いったい誰の発想だ」とコメントした。
市中で流通するすべての100ボリバル紙幣を72時間でコインに替えるのは不可能だ、との指摘もある。
100ボリバルはここ数年で通貨としての価値をほぼ失いつつある。米ドルに換算すると現在の価値は約2セント(2.3円)。
深刻な政治・経済危機に陥っているベネズエラは、世界で最も高いインフレ率に悩む国の一つになっている。
マドゥロ大統領はテレビのインタビューで、密輸に関与する犯罪組織について、「持ち出した紙幣を戻せなくするため、陸海空すべてのルートを断つよう命令した。自分たちの国外での不正行為をどうすることもできなくなる」と語った。
ベネズエラの中央銀行は今月、500ボリバルから2万ボリバルまで6種類の新紙幣を今月15日から流通させると発表している。
政府が最後にインフレ率を発表したのは昨年12月で、年率180%に達していたが、国際通貨基金(IMF)は、2017年の物価上昇率が2000%以上になると予想している。
インドでは先月、高額紙幣の廃止で大きな混乱が起きた。
(英語記事 Venezuela to swap highest denomination banknotes for coins)