THAAD:朴大統領の弾劾案可決で米中対立が再浮上

しかし、米国の各メディアは「THAAD配備は揺らぐ可能性がある」と懸念している。米紙ニューヨーク・タイムズは10日の社説で「朴大統領は強硬な対北朝鮮政策を堅持、THAADの韓半島配備を決定して中国の神経を逆なでした。(朴大統領弾劾で)これらの政策は2つとも不確実になった」と書いた。

 CNNも「(韓国に)進歩系政権が発足すれば、もっと北朝鮮に外交的なアプローチをすることになる。新政権はTHAADの韓半島配備に強く反対している中国と緊密な関係を結ぶようになるだろう」と報じた。

 中国国営メディアは、弾劾可決後の「反THAAD世論」に再び火をつけた。国営英字紙グローバル・タイムズは10日付の社説「(朴大統領は)間違った判断のせいで罰を受けた」で、「朴大統領が罰を受けたのは『崔順実(チェ・スンシル)疑惑』のせいだけではない。より重要なのは、朴大統領が(THAAD配備という)間違った戦略的判断で国を誤った方向に導いたからだ」「野党はTHAAD配備に強く反対しており、THAAD配備に対する国民の抗議の声も高まっている」と書いた。

 中国のポータルサイト・新浪網も同日、「朴大統領退陣後、THAADは撤回されるか」という見出しのコラムで、「黄教安首相が聡明(そうめい)なら当然、THAADを弾劾して韓中間の貿易交流を最上の状態に戻すべきだ」と述べた。中国人民解放軍の公式ホームページ・中国軍網も「THAADが配備されれば南北関係の緩和と平和統一への希望が消え、代わりに無限の分裂が始まるだろう」と主張した。

 北京のある消息筋は「弾劾によりTHAADに反対してきた野党の立場が強まったと判断した中国は、国営メディアなどを動員して韓国国内のTHAAD反対世論をあおっているようだ」と分析している。

 これについて、韓国政府当局者は「国防部を中心とした韓米軍事当局者間で懸命に準備しているところだ」と述べ、韓国政府の基本的な見解に変わりがないことを明らかにした。

 韓国国防部(省に相当)は「2017年中にTHAADを配備する」という従来の見解を維持しているが、在韓米軍側は来年7-9月ごろにTHAAD配備の時期を早める案を推進している。来年5月に配備するという話もあるが、国防部は「何も決まっていない」としている。

ニューヨーク=金徳翰(キム・ドクハン)特派員 , 北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
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