DeNA acquires “iemo”. 買収を即決できた6つの納得ポイント

昨年末に創業したiemo株式会社は、9月19日に正式契約を完了し、DeNAの100%子会社となりました。10月1日の発表から少し経ち、だいぶ落ち着いてきたので改めて記しておきます。

写真は、新たに本当のスタートとなった今、運命共同体である iemo ボードメンバー。不思議なことに、まだ出合って3ヶ月程度しかたっていない者もいるのですが。もうずっと昔から知っているような気さえします。ちょうど先ほど経営合宿のためにシンガポールに先着メンバーが到着して部屋に横たわっています。明け方なので多くは語りませんが、あうんの呼吸で言いたいことが伝わる穏やかな時間を共有しました。後発メンバーも頼れるなあという事象が夕方にあり、このメンバーに出会えてラッキーだったなあと、夜風に当たりながらこれを書いています。猪突猛進型のこんな私とよくぞ、という感謝しかありません。

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あまりメンバー紹介をしたことがないので書いてみます。CTOの奥田明大(奥)は守護神みたいなもの。元コントロールプラス出身でgumiに一度ドナドナされたのに、また一緒に創業してくれたけなげな子。忍耐強い。長くいて以心伝心すぎてほとんど話さないんだけど、なぜか何でも知ってる。二人でのみに行ったことは5年の付き合いで一度もないかも。

編集長の徳島久輝(左)は人間力とバランスの人。前職オールアバウトでは編集統括をしており、正直こんな大人プレイヤーが設立2ヶ月時のスタートアップに自分から飛び込んできたことに私が一番驚いている。どこに出ても「素敵な方ですね」と言われてなぜか私がくすぐったい。前職で新規事業のための競合調査中にiemoを見つけて運命だと思っちゃったらしく、その二日後に転職が決まる。『ビビビ婚入社』と呼んでいる。

共同で代表取締役をしている鈴木裕斗(右)は、年齢のわりになんでもマルチに揃った好青年。モデルのようなルックスで仕事もスマートにこなし性格も穏やかで調和型という、不足しているスキルがあまり見当たらない人間だ。ある日ふらりとオフィスに来て話を聞きたいという。肩書きを聞けば、サイバーエージェントでアメーバ事業部長で部下500人。話した感触もデキる若者だったので「こんな人材がウチにくるわけがない」と小一時間話して帰した後、どうせ冷やかしだと思ってメールも送らなかった。すると2週間後にカバンひとつぶら下げた鈴木が「出てきました。iemoと心中するつもりです」とオフィスのソファーに座っているではないか・・・。まるで『駆け落ち婚入社』だった。

こんなメンバーがジョインするスタートアップはやはり採用の魔法がかかっている。力強い経営体制が出来て、組織がよりスピーディにまわりはじめ「いける!」という感覚がわき、これから資金調達・・・!というときに、買収の話がでたのだった。

さて、done deal まで創業から8ヶ月。私がDeNAとの話し合いで、即決するほど納得できた6つのポイントを忘れぬようメモ。

  1. スタートアップ時に欠損している資金面・人材面を補うサポート体制。
    買収時に8名だった弊社は、優秀な出向メンバーによって瞬間的に20名以上の力強い集団となりました。ジョインしたメンバーと話せば話すほどエース級を送って頂いている実感がわきました。とにかく優秀ですし素直でいい人ばかり。人事部でそうとう熟考していただいたんだと思います。多くを語る守安社長ではありませんが、この人事采配だけみても、我々の事業に並々ならぬ思い入れがあることが雄弁に語られており、(勝手に)胸が熱くなりました。


  2. 働くメンバーの生活をしっかりサポートするバックオフィス体制の整備。
    経理・人事・総務・広報・法務などのバックオフィスの業務をすべて親会社に委任したいとiemo側から申し出ました。就業規則・福利厚生などもすべて親会社のものに変更します。一応「どうしますか」って聞いてもらえるのに対し、「全部アラインします」。以上!人事制度や評価制度もです。創業浅いことが幸いし、混乱なくきれいに移行できました。早かった。そして見事、一部上場企業の考え抜かれた制度が揃いました。スタートアップの企業に勤める不安も払しょくできると思います。(雑談ですが、この引継ぎに際して、各部門で出てくる担当者の方々がホント優秀)今回のM&Aはテクニカルに試してみたい仮説が2つありました。M&AにおいてPMI(Post Merger Integration)でも難しいとされる”企業文化の融合”において
    A)創業の浅い会社/社員数の少ないであれば文化の形成が未熟な状態で、親会社にアジャストしやすいんじゃないか
    B)よりフィットしやすい企業を選ぶことで、会社組織の立ち上がりも垂直に行くのではないかと思っていました。(前回のgumi買収時の経験から)今の入りはいい感じです。これからどうなるのかを強く意識しながら進めて行きたい。この点にもうひとつ良い材料があり、DeNA側で担当についていただいたPMI担当のN氏という方がいるのですが、私と相性がとても良いです。それだけで随分マージの難易度は引き下がるなと感じることがあります。
    間借り続きでこれまで1円も賃料を払ったことがなかったオフィスも、ついに渋谷のヒカリエに収まり、どこに出しても遜色ない、ちゃんとした会社となりました。めでたし。


  3. 産業構造を変えるサイズの新規事業、やりたいタイミングが完全一致。
    新規事業をしかけたいタイミングが同じで、方向性も合った。そして国内最大級のバーティカルメディアであるMERYとの同時買収をきっかけに、連携しながらノウハウを相互に横展開し新規事業にも取り組みます。この大胆な戦略はこうした大きな会社でしか仕掛けられませんでした。そして社長案件という理由も大きかった。守安社長がこの事業を管轄するという点は、スタートアップのメンバーに守安さんがいる状態ですから、相当稀有なわけです。IT業界に長くいれば伝え聞く、秀才ぶり・・・、カミソリのような采配、血が緑色だとか、右脳が存在しないとか数々の興味深い伝説を伺い経て、直下で働いてみるというのは純粋に興味がありました。


  4. 大企業であるDeNAの強みを生かした活動。
    小さな会社経営では取り組んでこれなかった多くのチャレンジがここには存在します。非常にやりがいを感じています。執行役員という肩書きも拝命し、スタートアップで培った筋力をこうした企業の中で使う機会は貴重です。こうした会社だからこそ取り組めることにチャレンジしてみたい。例えばダイバーシティの問題などは、今の私にとって興味の深いテーマ。他にも具体的に大企業でしかできないことって何だという事例で言うと、今回の経営合宿に1名DeNAからSさんという方に参加してもらいます。そもそも出向者ですらないのに。優秀なので「Sさんをチームにください」と社長にお願いしたところ、即日別の役員との調整を行ってくれiemoへコミットOKをもらいました。本体の仕事はそのまま、iemoの事業部長としての役割を持ち、今回の経営合宿にも出ると。優秀な人材の宝庫を持ち、即日異動できる判断スピードも持つとは、最強のエンジンを積んだF1マシンを与えられた感じです。(ほんとすごい会社なんだなぁ、DeNAって・・・)


  5. 球団を持つという企業背景。
    不動産という業界でビジネスを行う上で、駆け出しの小さな会社に信用を添えてくれることでしょう。


  6. 最後はやはり南場さん。
    女性経営者として、一代で球団を持つような大企業に成長させた手腕を間近で見てみたかった!これは魅力的です。私は経営者マニアなので、中に入ってDeNAのDNAをじわじわ噛み締めて、勝手に楽しんでいます(笑)

日本ではM&Aはまだまだ一般的ではないかもしれません。
ポジティブなディールは少ないのかもしれません。
私は海外のように増えていくべきだと思っています。互いの合理的な成長も得られますし、若くて能力の高い起業家をより育てる土壌がうまれます。

なので次のスタートアップの世代に新しい文化が生まれるような、良き事例となれるよう全力コミットでいこうとおもいます。
やりたいこと・成し遂げたいことがあるのでジョインするのであって、ここが終わりという考えはありません。

「買収は難しい」、「たいてい上手くいかない」、「すぐに辞めるのでは」・・・
心無いことを言う人もたくさんいますが、これに対しては誠実にやっていく姿を見せるのみです。

 Leading the charge will be Iemo’s founder Mary Murata, arguably the biggest winner from this deal. She is a senior vice president at DeNA as of today and will oversee the Curation Platform Business. Murata is no stranger to the corporate world either, having worked at CyberAgent prior to striking out as an entrepreneur.
Read more: Japan’s DeNA makes rare double acquisition for $50M in an effort to diversify  from Tech in Asia.com

なお個人的にはgumi に続いて2度目のイグジット。働くママでもシリアルアントレプレナーになれるという背中を、とくに働く女性に見てもらいたいな、と思って挑戦していたので嬉しいです。

「会社を売るってどんな気持ち?」とよく聞かれますが、センチメンタリズムは一切ありません。会社を売るときめちゃくちゃ苦しかった的なCEOの回顧録を見ますが、おそらく経営のアップダウン劇があった場合に限るのでは。今回のようなスタート直後の買収は「やるぞ!いくぞ!」という気合以外は生まれない気がします。さらにこれは性格の問題かもしれませんが、社員に言えず苦しかったみたいなこともありませんでした。それは操業当初より「判断は常にサービスの成長がより”早いほう”に」ということだけは一貫して言うようにしてきたので、今回の判断は誰にも疑問は浮かばなかったと思います。経営判断と同じ思考パターンになっていると。

3) Next Big Thing
受託事業のあとにソーシャルゲーム事業に参戦して体感したのは、大きなトレンドの波に早く乗れば、同じ経営リソースでも格段に事業が伸びるということ。次の大きな波の到来を感じるために、エネルギーを秘めた東南アジアにじかに身を置く。仕事もプライベートも最善を尽くし、新しいことにチャレンジする。来年35歳を迎え、一人の女、起業家として、新しいロールモデルを作っていきたい。
from A look back at the year 2012 @2013/01/01

1年半前に書いた目標に一歩近づきました。日本と東南アジアを往復する通勤生活が始まります。タフですが、双方の市場の魅力を俯瞰して見比べ、国内外の経営者や投資家と情報交換するメリットは替えがたい。海外の経営者のマネジメントスタイルや雇用状況を見ると驚きがあります。日本人には目からうろこの発想とか。そうしたエッセンスが経営者として中年に差し掛かった私に、いまだに新鮮な学びを与えてくれます。東南アジアの成長エネルギーを全身で追い風のように感じつつ、より強く進んでいきたいです。

最後に。

創業前より、たくさんのIT業界、不動産業界、建築家の先生方にサポート頂きました。お名前を挙げたい方は100名以上に及びます。手弁当でアドバイスに通って頂いたり、ご多忙の中アポに同行して代わりにプレゼンしてくれたり、たくさんの人を紹介いただきました。ほんの一筋の赤い糸のようなご縁をつないでいくうちに太いご縁になり、こうした道に導いてもらったと思っています。こうした節目のご報告ができること嬉しく思います。

そしていま、親会社にサポート頂きながら、サービスに100%注力してより多くのユーザーに使ってもらう環境が整いました。
さっ、やっとスタートラインです!
これから全力でアクセルを踏んで行きます。

DeNA acquires “iemo”. 買収を即決できた6つの納得ポイント」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    私は岐阜県で建築屋を営んでいるものです。マリさんの記事をたまたま目にして、このフログに辿り着きまし。私は第二創業とうか、5年ほど前に会社を倒産状態にし、意気消沈したあと3年ほど前に再び新会社を立ち上げてチャレンジている最中です。正直以前失敗した経験が活きていることもあり、以前の会社よりも売上、利益も出ています。しかし、私の再起にあたって決めた会社の状態とはイメージが違い、また経営目的も以前よりも大きく、試行錯誤しておりました。私自身が動き出し、ある人と出会い思いきって会社改革することとなりました。買収ではありませんが私にとったら似たような
    ものです。このままいけばらそこそこの会社にはなるが、それが目的ではない。そこに向かってく手段として社長交代などをおこなっていきます。なので、規模や目的は違うので失礼な言い方になるかもしれませんがマリさんの想いがわかるような気がしました。で、思わずコメントしたくなりました。マリさんの記事の中で6〜7人規模の会社ならテクニカルに何度もゼロから起業し、軌道にのせられるというようなものがありましたがとても注目すべき内容でした。そういう経営センスは今の日本に一番必要かもしれません。私もまさにそのことを考えていましたが、是非学びたいと思いました。この想いが届けばいつかお会いできるのでは?と勝手に思っております。
    遅くなりましたが最後に新しい門出にお祝い申し上げます。

  2. コメントありがとうございます。おっしゃること、わかります。個人的には少人数で食べていくのに困らないという企業活動は『商売をしている』という感覚を覚えます。実はそのステージにいると、コンプレックスすら覚えます。そうじゃなくて『企業を経営』したいタイプなんですよね。きっと。事業内容を通して社会に貢献でき、多くの雇用を産み、誰かに貢献したいと思います。私はまだまだ未熟で、道のり半ばです。私の身分でいうのも僭越ですが、一緒にがんばっていきましょう!

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