ノーベル賞授賞式、ボブ・ディランは欠席も友人のパティー・スミスが「はげしい雨が降る」披露
スウェーデン・ストックホルムで10日夜(日本時間11日未明)に行われたノーベル賞授賞式後に晩さん会が開かれ、文学賞を受賞した米シンガー・ソングライターのボブ・ディラン(75)のスピーチが代読された。授賞式を欠席したディランは「会場には行けなかったが、心は一緒。受賞は光栄です」と感謝の言葉をつづった。授賞式では友人の米女性歌手パティ・スミス(69)がディランの代表曲「はげしい雨が降る」を披露した。
医学生理学賞を受賞した大隅良典・東工大栄誉教授(71)をはじめ、各賞受賞者や関係者ら約1300人が出席した恒例の晩さん会。その中でアジタ・ラジ駐スウェーデン米大使によって代読された約7分間のスピーチに、ディランは感謝と喜びの気持ちを詰め込んだ。
受賞が決定した当初は全く連絡が取れず、「辞退するのでは」とのうわさや、スウェーデン・アカデミーのメンバーが個人的見解として「無礼で傲慢」と批判するなど、受諾までの2週間は大きな話題となったディラン。授賞式は「所用」を理由に欠席したが、スピーチでは最初に「出席できず、申し訳ありません」とおわびした。
その上で、子供の頃からトーマス・マンやヘミングウェーら過去の受賞者の作品に親しんだとし、「文学界の巨人たちのリストに名前が連ねられることになり、本当に言葉もない」と率直な喜びをつづった。また、数々の戯曲を残した英文豪のシェークスピアを例に挙げ「彼は『これは文学か?』と考えなかったに違いない。私も自分の歌を『文学か』と自問したことはない」としつつ、その問いに時間をかけて答えを出してくれたとして、選考メンバーへ謝意を表した。
授賞式で“代役”を務めたスミスは、ディランに憧れを抱き、米ニューヨークで活動した「パンクロックの女王」。反戦ソング「はげしい雨が降る」を披露した際には緊張で歌が止まり、やり直すというハプニングもあったが「ちょっと間違えたけど、ベストを尽くした。とてもハッピーだった」と笑顔を見せた。