ノーベル医学生理学賞・大隅さん、研究者サポート基金設立構想を明かす
2016年12月12日6時0分 スポーツ報知
スウェーデン・ストックホルムで10日夜(日本時間11日未明)に行われたノーベル賞授賞式後に晩さん会が開かれ、文学賞を受賞した米シンガー・ソングライターのボブ・ディラン(75)のスピーチが代読された。授賞式を欠席したディランは「会場には行けなかったが、心は一緒。受賞は光栄です」と感謝の言葉をつづった。授賞式では友人の米女性歌手パティ・スミス(69)がディランの代表曲「はげしい雨が降る」を披露した。
医学生理学賞の大隅さんは妻の萬里子さん(69)と授賞式に出席し、「ようやく(授賞発表からの)2か月が終わったという気がします」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
式典には家族や仲間ら1500人以上が参加。ファンファーレが鳴り響く中、医学生理学賞のメダルと賞状が授与された。大隅さんは細胞が内部のたんぱく質を再利用するオートファジー(自食作用)と呼ばれる仕組みに欠かせない数々の遺伝子を発見。日本人のノーベル賞受賞は3年連続で、計25人となった。
一夜明けた11日、取材に応じた大隅さんは、研究者を支援する基金を設立したいとの考えを明らかにした。「本当に研究者になりたいけど、家庭事情が許さないというような人のサポートをできたらいいと思う」と話し、ノーベル賞の賞金などを元手にした基金の構想を明かした。所属する東工大の若手の支援もしたいという。
ディランについては「来てくれるのを楽しみにしていた」と少し残念そうだったが、「(スピーチの代読や歌の)あの瞬間は、会場に彼がいるような雰囲気になった」と振り返った。