とある方のレポートを拝読して気になる点がございましたので、2点ほど。
“トランプ次期米大統領のインフラ投資、大幅減税、規制緩和などのリフレ政策期待からドル高円安になり”
という部分です。
1)「リフレ政策期待」のリフレが、いわゆる「リフレーション政策」を指すのでしたら、金融緩和が含まれず規制緩和が含まれることに違和感を感じます。また米国は2%の物価上昇率を未達といえどもPCEは1%台後半とデフレではありません。
単に「拡張的な財政政策への期待」ということでしたら、違和感はないのですが。
念のため、リフレ派の方々のリフレの定義を引用しておきます。
“リフレ政策とは、物価を企業が非自発的失業者を吸収できる水準まで戻し、以後も、非自発的失業者が出ないように、物価を安定させる政策”
《デフレと超円高》(岩田規久男,2011)
http://ow.ly/3moYjB
“リフレというのはデフレの長期化で失われた名目価値のリカバリーとそれに伴っておきる実質経済成長率の増加&長期安定、雇用の改善を目指すこと”(引用者抜粋)
(田中秀臣,2015)
https://twitter.com/hidetomitanaka/status/616389769237393408
2)ドル高円安になっている背景には、FRBの利上げが濃厚となっていることもあるかもしれませんが、減税やインフラ投資などの財政政策を拡大すると(金融政策のスタンス維持ならば、金利上昇を伴い)自国通貨の増価を引き起こす、というマンデル・フレミング・モデルから演繹的に導かれることであろうと思料します。
以上ですが、トランプ氏が拡張的な財政政策をどこまで実施できるのか、実施に伴い進む自国通貨(ドル)増価どのように対応(自国の金融政策に注文をつけるか、国外へ文句をいうのか)するのか、など注目しております。
ご参考になる点が一つでもあれば幸いです。