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【iRONNA発】
開発秘話「NHKだけ映らないアンテナ」はこうして生まれた! 掛谷英紀(筑波大学准教授)
筆者自身、NHKの存在意義を全て否定するつもりはない。震災時の報道は民放に比べてはるかに充実していたのは事実であり、また最近話題になった安保法制についても、民放は反対意見以外ほとんど放送しない中で、NHKは賛否両方の意見を取り上げていた。こうした報道姿勢については、公共放送として評価すべきであろう。しかし、公共放送らしからぬ振る舞いがあったとき、それに対して訂正、謝罪処分がほとんど行われていない点については、早急に改善される必要がある。
さらに、不公平な受信料制度の放置も無視できない問題である。NHKの受信料不払いに罰則がないため、NHKを視聴しながら受信料を払っていない人が多数いる一方、NHKを全く見ない人でもNHKが受信できる状態にあることから、法律を遵守してNHK受信料を支払っている人がいる。この不公平な状態を解消するために、現在NHKの受信料支払いを完全義務化する案が、自民党を中心に検討されている。もちろん、負担の公平化は大事だが、NHKが抱える上述の問題を放置したまま受信料の支払いを義務化することには、国民の抵抗が強いであろう。受信料の支払いを義務化するならば、NHKが真に公共的な存在であり続けることを担保する仕組みが必要である。