記事詳細
【iRONNA発】
開発秘話「NHKだけ映らないアンテナ」はこうして生まれた! 掛谷英紀(筑波大学准教授)
NHKのみ受信できなくするフィルタは、2013年度、筆者の研究室配属の4年生の卒業研究として開発した。原理自体は非常に単純で、電気電子工学を専攻する大学2年生であれば理解できるレベルのものである。同様の装置は、2007年に出版されたラジオライフの「本気の電子工作2」でも紹介されている。ただし、当時はアナログ放送であったため、NHKに周波数が近接する放送にノイズが出る問題があった。デジタル放送化された現在、NHK以外の放送にノイズを発生させず、NHKの放送のみを完全に遮断することが容易に実現できるようになっている。
「政治的に公平」に違反する事案が続く背景
この卒論テーマ設定のきっかけは、NHKの要請でYouTubeにアップロードされた2013年3月8日の中山成彬議員の国会質問が削除されたことである。同日の衆議院予算委員会で、いわゆる従軍慰安婦問題について、辻元清美議員と中山成彬議員が正反対の立場から質問した。いずれもYouTubeにアップロードされたものの、NHKは後者についてのみ削除要請をした。この件は国会でも追及され、平成25年3月27日の参議院総務委員会では、亀井亜紀子議員がこの問題についてNHKの見解を問いただした。NHKの石田理事は、後日辻元議員の質問も削除要請したと答えたが、亀井亜紀子議員は削除に時間差があったことを問題視している。また、平成26年2月3日の衆議院予算委員会で、杉田水脈議員も、この問題を取り上げており、放送法4条にある「政治的に公平であること」に違反するのではないかと述べている。