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【iRONNA発】開発秘話「NHKだけ映らないアンテナ」はこうして生まれた! 掛谷英紀(筑波大学准教授)

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【iRONNA発】
開発秘話「NHKだけ映らないアンテナ」はこうして生まれた! 掛谷英紀(筑波大学准教授)

(上)NHKだけ映らないアンテナフィルター「イラネッチケー」をテレビに取り付ける筑波大の掛谷英紀准教授=茨城県つくば市の筑波大(下)左が関東地域で使用できる地上波用、右が衛星用のイラネッチケー

 ここで、一つ疑問が湧くかもしれない。それは、なぜNHKだけ映らないテレビではなくて、アンテナなのかである。もちろん、テレビ側でNHKを映らなくしてしまう方が話は分かりやすい。しかし、残念ながらそれは技術的には容易であっても法的には難しい。というのは、NHKは放送技術研究所という研究機関を所有しており、そこでテレビ放送に関する大量の特許が取得されているからである。特許データベースJ-PlatPatで検索すると、デジタル放送に関するNHKの特許は出願で1000件以上、権利化されたもので100件以上である。NHKによるものだけでなく、各家電メーカー所有のものも含めて、テレビに関する特許はARIB必須特許ライセンスとしてアルダージ株式会社によって管理されている。この特許プールがNHKの特許を含む以上、NHKが映らないテレビは、特許使用が認められない可能性が高い。もちろん、特許の存続期間は20年と限られるが、次の4Kテレビの時代に向けて、UHDTV必須特許ライセンスが準備されている。よって、テレビ製造において、NHKの知的財産権の網を免れることは今後も難しい。一方、アンテナ技術は非常に古く、知的財産権の制約が少ない。それがアンテナに着目した理由である。

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