朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾問題は、今や憲法裁判所へと移った。憲裁は180日以内に弾劾するかどうかを決定しなければならない。何より重要なのは、韓国国民と大統領がそろって承服し得るよう、審理と決定に一切の欠陥がなく、非難の声もないものであるべき、という点だ。それは容易ではないだろう。今後、弾劾に賛成・反対のデモが憲裁に押し掛ける可能性がある。弾劾するかどうかはもちろん、「早く決定せよ」「それではだめだ」といういざこざもあるだろう。憲裁は、群衆のデモや党派の攻撃といった力に揺さぶられず、ひたすら証拠だけで判断・決定を下さなければならない。
今回の事件は、朴大統領関連の容疑が多い上に、大統領が訴追内容のかなりの部分を否定しており、事実関係をめぐっての攻防は激しいだろう。大統領側の反論権も法律の通りに保障すべきで、証拠の調査にも手抜かりがあってはならない。しかし、大統領に事実上「事故があった」といえる今のこの非常事態が長引くのは、決して望ましくない。憲裁は2004年、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領への弾劾案をめぐって決定を下すのに63日かけた。当時、週に2回ずつ弁論を開いた。今回もそうした集中審理が必要だ。憲裁は夜を徹して記録を検討する覚悟で臨むべきだ。
弾劾は、公式な罷免だけが目的であって、容疑の一つ一つをすべて見極めて有罪・無罪や量刑を判断すべき刑事裁判とは異なる。憲裁は、盧大統領弾劾審判の当時、弾劾要件を「公職者の罷免を正当化するほどに重大な法律違反の場合」と定めた。国会の弾劾訴追案は、朴大統領に対し、5つの憲法違反行為と8つの法律違反行為を指摘した。最終的に、この中に「罷免を正当化するほどに重大な法律違反」があるのかどうかが