『君の名は。』『この世界の片隅に』『聲の形』…アニメに沸いた2016年を振り返る
2016年の映画界は、新海誠監督最新作『君の名は。』の大ヒットに沸いた1年だった。さらには『聲の形』『この世界の片隅に』など質の良いアニメーション映画が続々と登場。しっかりとヒットに繋がるなど、アニメが日本映画界になくてはならない存在として、多大なる影響を与えた。そこで“アニメ大豊作”の1年を振り返ってみよう。
8月26日に封切られた『君の名は。』。12月時点で興行収入は200億円を突破し、邦画の歴代興収ランキングでは『千と千尋の神隠し』に次ぐ第2位となった。街へ出かければ誰かが『君の名は。』の話をしているほどの社会現象を巻き起こした。
新海監督は、『秒速5センチメートル』(07)で熱烈なファンを生み出し、アニメ好きには知られた存在であった。美しい風景描写には監督のもの作りに対する真摯な姿勢がひしひしと現れているし、作品に共通して流れる「距離や隔たりがありながらも、なんとかして届きたいと手を伸ばす」登場人物の姿も人々を惹きつけた。
『君の名は。』ではそのような“新海ワールド”を持ち続けながらも、感動と希望に満ちたラストなど、これまで以上にエンタテイメント性を突出させていたのが印象的だ。作品世界とマッチしたRADWIMPSの楽曲、声優陣の好演などヒットの要因と考えられるものも多いが、誰もがこれほどまでに膨れ上がるとは予想していなかったはず。まさに化け物級のヒットを成し遂げた今、次に新海監督が生み出すものに、大いに注目が集まる。