暴走したタクシーが福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院に突っ込み10人が死傷した事故で、タクシーの運転席のフロアマットが二重に敷かれていたことが捜査関係者への取材で分かった。上のマットがずれてアクセルやブレーキのペダル操作に影響を与えた可能性があり、福岡県警は事故との関連を慎重に調べている。
捜査関係者によると、事故を起こしたタクシーの運転席の足元には、元々備え付けられていたフロアマットの上に市販のマットが重ねられていた。上のマットは固定されていなかったとみられる。
国土交通省などによると、マットを二重で敷くと上のマットがずれてアクセルペダルにかぶさり急加速することがあるが、松岡龍生容疑者(64)のタクシーと同型車にはアクセルとブレーキを同時に踏むとブレーキが優先されるシステムが導入されている。
自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で送検された松岡容疑者は「ブレーキを踏んだが車が止まらなかった」と供述しているという。一方でタクシーが事故直前に急加速したという目撃情報もあり、車両の不具合やペダルの踏み間違いなど運転ミスの可能性もある。
県警は、タクシーから事故直前のペダルの操作状況や車速などを記録する「イベント・データ・レコーダー」を回収しており、走行記録の解析などを進めながら詳しい事故原因を調べる方針だ。【平川昌範、佐野格】