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東山動物園が休園 鳥インフルで11日から

東山動植物園のシジュウカラガン=名古屋市千種区で(同園提供)

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 名古屋市は十日、東山動植物園(名古屋市千種区)の動物園を十一日から当面の間、休園とすると発表した。死んだコクチョウ一羽から鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出た後、別の場所で飼育していた環境省の絶滅危惧種シジュウカラガン一羽が死に、感染拡大の疑いが否定できないと判断した。来年三月に開園八十周年になるが、防疫措置で休園にするのは開園以来初めて。台風や行事準備などを除き、期限を限定しない休園は戦後初。

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 市は九日、野鳥と接触するなど感染の恐れがあるとして隔離していた十羽の簡易検査を実施。すべて陰性だったが、シジュウカラガン四羽のうちメスの一羽が十日夕に急死した。このシジュウカラガンは、陽性反応の出たコクチョウがいた「胡蝶(こちょう)池」とは別の「古代池」で飼育されていた。死ぬ前と後の簡易検査でいずれも陰性だったが、別の場所での感染の可能性が否定できなくなった。

 園では十一月二十九日以降、陽性反応のコクチョウや今回のシジュウカラガンを含む五羽が死んだ。これらと濃厚接触した鳥も含む計十四羽分の検体を確定検査機関の鳥取大に送付し、確定検査結果を待っている。来園者を介して外部の畜産農家などへ感染が拡大するのを防ぐため、園関係者を除く人と車の出入りを制限し、消毒範囲も広げる。

 営業再開は、全確定結果が出そろう十二月二十日ごろ以降に判断する。植物園は営業を続けるが、動物園に隣接する一部区域は立ち入りを制限する。黒辺雅実・動物園長は「園を楽しみにしている人に大変、申し訳ない」と話した。

 環境省によると近年、動物園内で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されたのは、二〇一〇年十二月の高岡古城公園動物園(富山県高岡市)と今年十一月の大森山動物園(秋田市)の二例。いずれも簡易検査で陽性が確認された時点で臨時休園にした。高岡古城公園動物園ではハクチョウなどが殺処分され、開園までに約三週間かかった。

 大森山動物園では十一月十五日、死んだコクチョウ一羽の簡易検査で陽性反応が出た。翌十六日から臨時休園とし、当初予定した同月末までの年内営業は中止に。園のホームページによると、感染拡大を防ぐためにコクチョウやオオハクチョウなどが殺処分された。

◆鳥インフルをめぐる経過

 <11月22日> 国内での高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、アヒルとガチョウを屋内へ隔離飼育

 <29日> 雌のコクチョウ1羽が死ぬ。簡易検査の結果は陰性

 <30日> 動植物園内のコクチョウ4羽を動物病院と検疫室に隔離

 <12月3日> 雄のコシジロヤマドリ1羽が死ぬ。簡易検査の結果は陰性

 <4日> 雌のコクチョウ1羽が死ぬ。簡易検査の結果は陰性。胡蝶池で野鳥と同居している鳥類(5種47羽)をバックヤード施設に隔離

 <6日> 胡蝶池で飼育していた雄のコクチョウ1羽の元気がなくなり、鼻水を認めたため、簡易検査。結果は陽性。夜に死ぬ

 <7日> 県が同園や半径3キロ圏内にある2カ所の家禽(かきん)農場を立ち入り検査し、異常なし

 <10日> 古代池で飼育していた雌のシジュウカラガンが死ぬ。11日からの動物園区域などの休園を決定

 

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