2016-12-11
■クラウドワークスでまともなライターにはなれないよ 
わかる。
すごくわかる。
まあほら、僕も売文業を始めてからもう25年になるわけよ。
で、ライターって一緒にやる編集者によってすごく変わるのよね。
でも編集者にしても、極端にいえば自分で書けちゃうわけ。自分で書けちゃうんだけど雑誌を一冊作るには、それだけでは足りないからライターにも書かせてるっていう感じ。
しかもできれば修正したくない。
だから編集者はライターを育てる覚悟が必要だし、ライターと編集者っていうのは二人三脚で一緒に成長していく必要がある。
だから、ふつうのマスコミの常識で言ったら、クラウドワークスみたいに顔が見えない相手に最初から文字単価で記事を依頼するなんてことはあり得ない。
編集者はライターを選ぶものだし、選んだらとことん付き合うもの。
彼氏彼女みたいなものだから、それをクラウドワークスで選ぶことは万に一つもあり得ない。
ではライターってどうやったらなれるの?と聞かれると、わかんないけど文章を書かないとなれない。
僕の時代は投稿っていうのがあって、雑誌に投稿して採用されるとライターになれた。だから僕は高校生でもデビューできた。
今はブログがあるから、やっぱり面白いブログを書いたらそれを読んだ編集者が記事や本の依頼をしてくることは十分ありえる。
ただ、不思議な事にブログからライターになった人ってあんまりいない。
というのも、たぶん面白いブログというのが真空から生まれるのではなくて、やっぱりその人がなにがしかの活動をしていることがブログになっていて初めて面白い、という構造が生まれるからではないかと思う。
そしてブログがきっかけだろうがなんだろうが、本が出て、それがそこそこ売れると、次の本の企画が勝手に持ち込まれてくる。
二年前に、けっこう売れる本を書いたら、ひっきりなしに出版社がやってくるようになって、あれを書いてくれこれを書いてくれと言ってくる。
んで、一年前はプログラミングとかプログラマーとかいう言葉がタイトルに入ってる本を5冊も出したあとだってので「もうプログラミングの本を書くのはやめよう」と思った、それでやってきた編集者たちに「人工知能の本なら書きたいんだけど」と言ったら誰も興味を示さなかった。衝撃的なほどのボンクラだよね。今の「よくわかる人工知能」の売れ行きを見て少しは反省してほしいな。本てのは書き始めた頃に流行ってるものは遅いんだよ。これから流行るものについて書かなきゃナンないんだから。その点、向こうから「人工知能の本を書いてよ」と言ってきた伊藤くんはさすが慧眼である。泣く子も黙る週刊誌の編集長をやってるだけはある。
僕はいろんな編集者と付き合うようになってから、編集者を上手く選ばないと売れる本は書けないことを学んだ。
どれだけエネルギーを使っても、いい編集者に巡り合わないと売れる本が書けない。
単に僕のファンでもダメだし、逆に僕へのリスペクトがゼロでもダメだ(信じられないことにそういう編集者からの依頼は本当にある)。
対等なパートナーとして、お互いに悪口も言いながら、無駄に酒を飲んだり、飯を食ったり、休日を一緒に過ごしたりしながら、まさに恋人のように接して、それから生まれる本というのは本当にいい本になる。
けど、なぜだか知らないが女性の編集者はダメである。
女性の編集者「が」ダメなのではなくて、単に僕との相性が悪いのだと思う。
女性の編集者は常に「すてきな本」を作ろうとする。これは「売れる本」を書きたい僕とは相反する思想である。
けど一人だけ、上手く行った女性の編集者が居て、それは最初の本を出した時の編集者なんだけど、今思えば彼女はすごくまともで、僕を育ててくれようとしたんだと思う。まさしくブログを見て本の企画を持ち込んでくれた最初の人だった。
僕が女性の編集者とうまくいかないのは、もしかすると僕がフェミニストだからかもしれない。
いや、本当にフェミニストかどうか知らないけど、僕は相手が女性だと過剰に親切にしてしまう傾向がある。
それは小学校の頃、合唱部という女性優位の社会で育ったからかもしれないし、家族が父親以外全員女性という環境で育ったせいかもしれないし、毎日実家のピアノ教室に通いに来る大勢のお姉さんたちに弄ばれて育ったせいかもしれないが、とにかく女性というのを大事にしろということが根本的に心に染み付いている。
だから女性の編集者がトンチンカンなことを言ってくるのに対して、あまりハッキリものが言えない。いちおう言ってるつもりなんだけど、反動的に強すぎる言葉になったり、過剰に傷つけたりしてるのかもしれない。
とにかく素になれない。どうやらそれが原因なのかもしれないが、とにかくここ数年、女性の編集者とうまくいったことがない。
だからと言って男なら誰でもいいわけではない。
「よくわかる人工知能」のイトー君は、ひょっとすると同い年で、彼も編集長という、それなりの立場にある人間だから本当に対等な友達として接して、友達として酒を飲んで、友達として面白いとか面白くないとかの議論が出来て、それで上手く行ったのかもしれない。
まあとはいえ僕は売れっ子作家でもない。
10万部にも達しないそこそこ売れる本を書く著者でしかない。
だから僕が編集者を選ぶなどということはおこがましい。
おこがましいけれども、しかし自分の人生を削って本を書くわけだから、一緒に人生削る相手くらいは選びたい。
クラウドワークスの仕事にこんなウェットな関係はあり得ない。
ちゃんとしたライターになりたければ、出版社(または新聞社)に編集者として入社するか、ブログで注目を集めるか、とにかく自分にはちゃんと文章が書けるということを証明して、相手から声をかけてもらうしかない。
一文字一円の仕事など、到底ライターの仕事とは言えないよ。
AIの研究をして思うけど、ライターってのは集めた情報を効率的に圧縮して文字にする仕事なんだよね。その効率的な圧縮を行うためには、沢山の経験を積まなければならないし、反復練習も必要になる。
だから、ライターってのは、すごく面倒くさいし大変な仕事をしてる割にはギャラが安い。
僕くらいのショボい著者だと、ライターとしての年収は年間に200万円くらい。
本一冊でて、初版の印税が60万円、と考えるとだいたい収入が想像できるでしょ。今ってそんなもんよ。本一冊書いて買い切り15万円とかのケースもあったけどね。さすがにその出版社では二度と書かないと思ってるけど。
12万字書いて、60万円だから一文字アタリにするとちょうど5円。まあこんなもんかな。もちろん増刷がでればその分印税は貰えるけどね。それでも最近は「売れたなあ」と思う本で200万円くらい。そんなもんなんだよねえ。
収入を得ることが目的なら、どう考えても真面目に会社で働いたほうがいいよ。
僕の場合、埼玉屋の行列に並ぶ時間で本を書いているのでまあ本は副産物だけど、これが本職だったら生きるの辛いだろうなと思う。中谷彰宏みたいに毎週一冊ずつ出せるとかだったら話は違うのかもしれないが。正直アレって羨ましいよね。なんかそれっぽいコト書いて終わり、みたいな内容ばっかりだから。
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ファーストクラスに乗る人の発想 今が楽しくなる57の具体例 きずな出版
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ファーストクラスなんて、100万円くらいで乗れるわけじゃん。いや、大金だけど。でも、中谷彰宏は「ファーストクラスに乗る人の」シリーズだけで4冊くらい出してるから、絶対にペイしてると思う。一冊60万円で240万円だからね。
ファーストクラスなんか一回だけ乗ればいい。そしたら誰でも「ファーストクラスに乗る人の○○」が書ける。実際、ファーストクラスに一回乗ってみると「くっだらねえな」ということがよくわかる。「これならビジネスで十分だな」とも思う。ファーストクラスが過剰に高いのは、要するに気軽に顔をあわせられないVIPだから、貧乏人と区別するために乗るっていうことなんだと思う。だから僕みたいな貧乏人からしたら、ファーストクラスの値段とか不当に高いと思うし、ビジネスクラスだって高すぎると思う。
その上、航空会社関係者はほんの数千円でビジネスクラスに乗れるわけで、もうそれ聞いてから噴飯モノ。以来、男は黙ってエコノミーですよ。ビル・ゲイツだってエコノミーに乗ってるし。ビジネスクラスのメリットは広いことと、酒が選べることだ。というわけで、もう僕は飛行機に乗る前に酒とツマミを免税店で買って自分でアップグレードすることにしてる。椅子はもちろん通路側で、なるべく後ろ。なぜなら通路側はスペースが広いしいつでもトイレに行けるからだ。ギャレーでCAさんと雑談したりできるのでよく考えるとビジネスクラスよりも得かもしれない。
エコノミーに乗るのを貧乏だからと考えるか、それとも「おれはこのガマンをすることでわずか9時間で90万円稼いでいるのだ」と考えるかの違いだ。
つまり100万円払ってファーストクラスに乗るところを、10万円のエコノミーで乗り切る。ザマアミロというわけだ。ものごとはポジティブに考えるとだいたい上手くいく。
話がそれてしまったが、まあ中谷彰宏は羨ましい。
愚にもつかない妄言を毎週出版してそれで生計が成り立っているのだから本当に凄い
では中谷彰宏に成りたいかというと、やっぱりそれはちょっと御免こうむる。
単純に、分かりきっていることを文章にするのは辛いからだ。
いや、好きだよ中谷彰宏。何冊も持ってるし。
でも、さすがに5冊以上は飽きる。
それを年間50冊出版してるんだからたいしたものなんだよ中谷彰宏
たぶん中谷彰宏が死んだら、潰れる出版社はいくつかあるだろう。
一人で本を量産し続けるジャンク文章ファクトリーとしての中谷彰宏。
ライターとしての最終型が彼だとしたら・・・・なんていうか、銀河鉄道999っぽい感じになってきた。
「哲郎、ここはライターの星よ」
「メーテル、ここがライターの星なんだね。ここに来れば、カクヨムで地道にアクセス稼がなくても作家になれるんだ」
「哲郎、まずは愚にもつかないことをそれっぽく書いてご覧なさい。できるだけ人のコンプレックスを上から目線で刺激するのがいいわ」
「うーん、そうだな。こんなのはどうだろう? "都心のタワーマンションに住む人の習慣"」
「その調子よ哲郎。他にも"ファーストクラスに乗るならエコノミーの座席を三席とりなさい"というのもアリだと思うわ」
「メーテル、そんなことしてるの?」
「してるかどうかは関係ないわ。とにかく、ビビッドな刺激的なタイトルでとりあえず大衆の眼を引くのよ。大衆は自分の知らないことに敏感だし、実際のところ、金持ちもこういうのは無視できないわ。とりあえず手に取らせたら勝ちなのよ。PV稼げば誰かがクリックしてしまう、どこぞのジャンク文章サイトと同じ原理ね」
「うーん、たしかに僕もタワーマンションなんか藤沢数希の小説でしか知らないしな。しかしそんなことまでしてライターになって嬉しいのかな」
「この星、惑星ナカタニは誰もがライターを目指して常に意識の高いキーワードを探っているのよ。あなたもここで意識の高いキャッチフレーズを考えていれば、いずれは中谷彰宏になれるわ」
「うーん、でも僕が想像してたのと違うなあ。メーテル、999に戻ろうか」
「そこの小僧、待て!それは戦士の銃じゃないか!?」
「おじさん、何者なの?」
「わしは・・・わしは・・・思いついたぞ!"戦士の銃を持てる人の義務"というのはどうじゃろう」
「哲郎、行きましょう」
「待ってメーテル、おじさん、"戦士の銃を持つ人の7つの習慣"というのはどうかな」
「小僧、なかなかやりおるな。習慣で攻めてきたか」
「哲郎、置いていきますよ」
「おじさん、こういうのも考えたよ"フランス人が戦士の銃を持たない理由"」
「小僧、見どころがあるぞ。儂の弟子にならんか」
こうして哲郎はライターの星で一生を終えることになった。
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