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【社会】

義父母と「関係終了届」 配偶者死別後 提出増える

姻族関係終了届

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 配偶者との死別後、その親きょうだいとの関係を書類だけで解消する「姻族関係終了届」を出す人が増えている。義理の親の介護を担うことや同じ墓に入ることに抵抗感がある女性から、専門家への相談が目立つ。そもそも法的な扶養義務はなく形式的な意味合いが強いが、「絶縁」できる届け出は、昔ながらの家制度に心のどこかで縛られる女性たちの安心材料になっている。

 四十代のライター椙原繭実(すぎはらまゆみ)さんは一年半前、軽い足取りで市役所を後にした。三年前に病死した夫の親族との姻族関係終了届を提出し、「ようやくあの家と絶縁できる」と晴れ晴れとした気持ちになった。

 ひと回り年上の夫と十七年前に結婚し、子どもにも恵まれたが、二世帯同居の夫の両親と折り合いが悪かった。慢性疾患があった夫が急死すると、葬儀や相続を巡り意見が対立、最後は家を追われた。

 見かねた友人から「気持ちの整理になるから」と渡されたのが、見慣れぬ姻族関係終了届。椙原さんは、書類を出す日を心の支えに相続の手続きなどを進めた。「戸籍上も赤の他人だと思ったら憎しみもなくなり、前向きになれた」

 配偶者が死亡しても、法律上、配偶者の親族との関係は消えない。解消したい時は、市区町村に届け出れば認められる。相手の了解は不要で通知も行かず、配偶者の遺産を相続することも可能だ。法務省の戸籍統計によると、姻族関係終了届の提出数は二〇〇五年度が千七百七十二件だったが、年々増加傾向で、一五年度には二千七百八十三件となった。

 家族・夫婦問題カウンセラーの高草木陽光(たかくさぎはるみ)さんの元には、今年に入り約三十件の相談が寄せられた。これまでは年一〜二件だった。相談者のほとんどが四十〜五十代の女性だ。

 多くは義理の親と同居や近居で、全国から相談がある。「介護に巻き込まれたくない」「しゅうとめと折り合いが悪かったので縁を切りたい」という内容が多い。中には「夫と一緒の墓は嫌」と、夫が生きているうちから「死後離婚」を希望するケースもあるという。高草木さんは「親は『嫁に面倒を見てもらうのは当然』と思うが、嫁は『夫の死後は自分の人生を歩みたい』と葛藤している」と指摘する。

 民法七三〇条には「同居の親族は互いに扶(たす)け合わなければならない」との条文があるが、扶養義務はない。大阪大の床谷文雄教授(家族法)は「法的義務があると思い込んだ人や親類との付き合いを断ちたい人が届けを出しているのではないか」と指摘している。

 <配偶者と離別後の親族関係> 結婚すると、配偶者の親や兄弟などと「姻族」になる。姻族になっても家庭裁判所が「特別な事情」と認めた場合を除いて扶養義務はない。配偶者と離婚した場合、姻族関係は自動的に解消されるが、死別の場合は継続される。関係を解消するには「姻族関係終了届」を市区町村に提出する必要があるが、期限はない。ただ、終了届を提出しても戸籍はそのままなので、旧姓に戻る場合は「復氏届」を提出しなければならない。

 

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