冬場の必需家電といえば、加湿器。特に全国的にエアコン暖房が普及している今、室内の空気は乾燥しやすい傾向にある。湿度が低下するとインフルエンザなどのウイルスの増殖につながりやすく、同時に鼻や喉の粘膜が乾くことで、風邪などもひきやすくなると言われている。それだけに、小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、適度な加湿を心がけたいものだ。また、美容の面でも、うるおいのある肌を保つために加湿器の利用を考える方は多いだろう。
加えて、省エネの観点からも加湿器は有効だ。一般に、「20%の湿度上昇で、体感温度が約1℃向上する」と言われており、湿度を20%上げれば、暖房の設定温度を1℃下げることができるわけだ。この場合、約10%の省エネが見込める。このように、加湿器には、さまざまなメリットがあるのである。
さて、今シーズンも加湿器の新モデルが出そろった。製品をチェックしていくと、加湿の基本原理や機能はこれまでと特に大きな変化はないが、国内大手メーカー製品をはじめとしてデザインの洗練度が高まってきている印象だ。ダイソンなどの海外メーカーや、バルミューダやcadoなどの新興メーカーの刺激を受けたと考えられる。ユーザーからすると部屋にあわせた選択肢が増え、よろこばしい傾向だ。また、加湿機能を持つ空気清浄機「加湿空気清浄機」も加湿器としての実用性を増してきているので、重要な候補としてチェックしておきたい。それでは、2016〜2017年最新モデルを中心に、ユーザーそれぞれの目的に応じた加湿器の選び方をナビゲートしていこう。
加湿器には「スチーム式」「気化式」「ハイブリッド式」「超音波式」など、いくつかのタイプがある。それぞれの特徴は異なり、目的や用途にあったものを選ぶことが大切だ。ここではまず基礎知識として、加湿器の方式とそれぞれのメリットおよびデメリットを、製品例とともに解説しよう。
▼原理:ヒーターで水を温めて蒸気を放出。やかんのお湯で加湿効果を得るのと同じ原理。
▼メリット:水を沸とうさせるので、カビや雑菌が空気中に放出されず衛生的。構造がシンプルなので比較的値段も安く、加湿もスピーディー。
▼デメリット:消費電力が多め。湯気が広がりにくく熱くなるので、ヤケドの可能性がある。
象印「EE-RL50」
沸とうさせた清潔な蒸気を、約65℃まで冷まして部屋を加湿する。湯わかしポットのようなデザインとシンプルな広口構造が特徴で、お手入れもラクラク
三菱重工「roomist SHE60ND」
蒸気をファンで送り出す独自の「スチームファン蒸発式」。スチーム式のメリットを生かしつつ、吹き出し温度を抑えており、安全性も高い設計
オムロン「HSH-101」
睡眠中の、のど・鼻・肌のうるおいを保つことが目的の “パーソナル型”加湿器。運転「切」の状態で保湿のタイミングを知らせる機能「保湿ナビ」を搭載する
▼原理:水を含ませたフィルターに風をあてることで、湿った空気を放出し、加湿する。洗濯物を室内干しして加湿効果を得るのと似た原理。
▼メリット:ヤケドの心配がなく、電気代も少ない。また、気化現象を利用しているので、加湿し過ぎる心配がない。
▼デメリット:加湿用の水を沸とうさせないので、手入れを怠るとカビ菌を撒き散らすことになる。加湿のスピードはスチーム式に比べてゆるやか(製品によっては、風量を多くして加湿能力を高めた製品もある)。動作音が比較的大きめ。
シャープ「HV-F30」
加湿だけでなく、「高濃度プラズマクラスター7000」イオン発生機能により除菌・消臭効果もある。ファンの回転にDCモーターを採用しており、前モデル(HV-E30)に比べて消費電力を半分近く低減
パナソニック「FE-KXM07」
低消費電力で高速回転が可能なDCモーターを採用し、気化式ながら「お急ぎモード」で急速加湿できる。「ナノイー」イオン発生機能を搭載しており、肌のうるおい効果も
▼原理:気化式にヒーターをプラスしたのがハイブリッド式(気化式ハイブリッド)。気化式のメリットを生かしつつ、ヒーターによる加熱で加湿のスピードをアップする。
▼メリット:湿度が十分に高くなるとヒーターの電源を切り、低消費電力で湿度を維持するため、加湿スピードと消費電力のバランスにすぐれる。
▼デメリット:本体が大きく価格も高価になりがち。お手入れなどの必要性は気化式と同じ。
シャープ「HV-F70」
「高濃度プラズマクラスター7000」イオン発生機能を搭載。温度・湿度のダブルセンサーで、過剰な加湿を防ぐ省エネ運転が可能
ダイニチ「HD-RX716」
ハイブリッド加湿器でナンバーワンの静音設計(標準モード)をアピールするモデル。「おやすみ加湿」機能で、入眠時はとことん静かに、1時間後にしっかり加湿するモードに自動切り替えできる
▼原理:超音波振動で水の粒子を空気中に飛ばす。
▼メリット:低消費電力で、電源投入直後から水煙がのぼる。スチーム式のように熱くならない。価格が安めで小型化しやすい。
▼デメリット:空中に放出される水の粒子が大きく、空気を加湿せずに落下したり結露したりしやすい。また、清潔にしておかないと、カビ菌や雑菌も空中に放出してしまう。
アピックス「ASZ-015」
コンパクトでインテリアにも映える「しずく」型が人気のロングランシリーズ。最新モデルでは、スタイルと機能は従来のまま、さらに軽量&低消費電力に。タッチ操作でLEDライトのオン/オフ切替可能
ダイソン「Dyson Hygienic Mist MF01」
超音波式ながら、本体内部に除菌用UVランプを搭載し、加湿用の水を99.9%除菌できるという仕組みを搭載。さらに、“羽根のない扇風機”の技術を利用し、ミストを広範囲に放出できるのも特徴
各種方式の原理とメリット&デメリットがわかったら、ライフスタイルや用途に合った加湿タイプを考えてみよう。
●手軽にデスクトップに置いてお肌にうるおいを→「超音波式」がピッタリ!
省電力で、しかも電源を入れたら即加湿ができる「超音波式」モデルは、スポット加湿に最適だ。小型でオシャレな製品も豊富なので、デザインで選んでもよし。
●小さな子どもがいて、家の中を1日中加湿しておきたい→「気化式」がピッタリ!
「気化式」は熱い湯気が出ないので、ヤケドの心配がなく、小さなお子さんがいる場合でも安心だ。また、消費電力が少ないので、電気代を気にせず1日中運転したい用途にも最適。
●帰宅後スピーディーに加湿したい→「ハイブリッド式」がピッタリ!
“素早く加湿したい”という用途なら「スチーム式」もよいが、予算があれば、省エネ運転が可能でコストとのバランスが取れた「ハイブリッド式」の中から選ぶのがいいだろう。
●小さな子どもはおらず、家族で必要なときに使いたい→「スチーム式」がピッタリ!
家族の誰かが必要なときに使うなら、素早く加湿ができる「スチーム式」がいいだろう。コンパクトで持ち運びしやすい製品も豊富で、比較的安価なのもファミリーにうれしいところ。
続いては、加湿器を選ぶ際にチェックすべきスペックと、その目安を紹介する。