大雪となった大通公園で、歩道の除雪を行う作業員ら。奥はさっぽろテレビ塔=札幌市中央区で2016年12月10日午後1時49分、手塚耕一郎撮影
千島近海で発達した低気圧の影響で10日、北海道は道央地方を中心にまとまった雪が降り、札幌市では午後3時に65センチを観測した。札幌管区気象台によると、12月上旬としては1987年12月3日の68センチ以来29年ぶりの積雪となった。新千歳空港(千歳市)では200便以上が欠航し、約1000人が一夜を過ごす。札幌市電も終日ストップするなど、交通機関に大きな影響が出た。
同気象台によると、この日の札幌市の積雪は平年(13センチ)の5倍。住宅街では道路や車が雪に埋まり、市民が朝から雪かきに追われた。札幌市中央区のホテル前で、スコップを手にしていた従業員の金井俊典さん(39)は「この時期にこれほど積もるのは珍しい。今日は雪が重く、かいてもかいても追いつかない」と話していた。
新千歳空港では天候不良や滑走路の除雪作業のため、252便が欠航。札幌丘珠空港(同市東区)も全24便が欠航した。JR北海道によると、電車のパンタグラフが雪の重みで上がらなくなったりポイントが変わらなくなったりし、函館線や千歳線などの列車が192本運休。札幌市周辺の高速道路も通行止めとなった。
札幌市街地を走る札幌市電では、車両に取り付けられた竹製ブラシで排雪作業を行う「ササラ電車」が出動。しかし、軌道上の雪で動けなくなるなど除雪が難航し、終日運休した。市交通局によると、終日運休は数年に1回程度。今回は雪質が湿って重いうえに通行する車で踏み固められたため、作業が滞ったという。
同気象台は、11日の道内も冬型の気圧配置が強まって雪が降り続けるとして、注意を呼び掛けている。【高野玲央奈】
空港泊する人も
新千歳空港では10日夜、欠航のためターミナルビル内で翌日の飛行機を待つ人がベンチなどに横たわり、ビル運営会社は毛布を配布した。
午後の便で自宅に戻る予定だった愛知県豊田市の会社員、大和睦史さん(32)は「何とか明日午後のチケットを取った。近くのホテルはどこも満室で、ここにいるしかない。早く帰りたい」。妻麻里さん(24)は「空港泊なんて初めて」と疲れた様子だった。【日下部元美】